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3冊の本棚

文章のプロが毎回テーマに沿って、3冊の本をセレクト。
作家という書き手の視線で選ばれた本の魅力をご紹介いたします。

中江有里さん
(なかえ・ゆり)

女優、作家。ますますネットに時間を奪われそうな時代。一方、書籍はデジタル化されても、読む行為はアナログ。読むことは意外と苦労もします。本は読まなくても生きていけるけれど、本を読む人生は案外、面白いですよ。
中江有里

テレビドラマ今昔

 いじめ、厳しい校則…、息苦しかった中学時代を支えてくれたのは、本とテレビドラマ。特に連続ドラマには熱中し「脚本家になりたい」と夢に見たほどです。そんな私がドラマを見る側から出る側へ回ったのが、平成元年のこと。しかし連続ドラマのオーディションに落ち続け、出演までの道は遠かったです。
 〔1〕中川右介(ゆうすけ)『月9(げつく)』(幻冬舎新書・1,404円)はまさに、私のドラマ視聴史と重なる一冊。1987年4月、若い視聴者向けのドラマ枠となったフジテレビ系月曜九時枠は「月9」と呼ばれ、一種のムーブメントを起こしました。そんな月9の始まりから各ドラマのヒロイン像までを、その時代の出来事を絡め、同時期放送の各局の連続ドラマにも触れつつ記しています(私の名も出てきてドッキリしました)。資料としても面白いのですが、個人的には「このドラマ、好きだった…」「出たかったけど叶(かな)わなかった…」。ドラマに揺さぶられ続けた自分自身を振り返ってしまいました。
 テレビドラマは単発二時間ものもあります。〔2〕大野茂『2時間ドラマ 40年の軌跡』(東京ニュース通信社・1,620円)によると2時間ドラマの興隆期は二度。80年代、TBS系とテレビ朝日系が週2枠、フジテレビ系は3枠、日本テレビ系も3枠。そして01年から数年間、テレビ東京系も含めた民放五局が2時間ドラマ枠を持っていました(この当時、私も結構出ていました)。ほぼ毎日、2時間ドラマの放映があると、作る側も量産体制。撮影現場はいつも大忙し…。でもベテランのスタッフ、先輩俳優とご一緒できる貴重な機会でした。
 今、2時間ドラマは減り、連続ドラマも往時の高視聴率獲得は厳しい。視聴者の生活スタイルの変化、そしてネットの台頭が影響しているのでしょう。
 〔3〕ジーナ・キーティング『NETFLIX コンテンツ帝国の野望』(牧野洋訳、新潮社・電子書籍1,750円、単行本は26日発売)は、史上初のグローバルインターネットテレビを立ち上げた企業の創業物語。レンタルDVD事業から始めたその企業は、テレビの楽しみ方を「リアルタイム」から「オンライン」へと変え、テレビ局のようにドラマを作るまでに成長。そうして世界を揺るがすメディアへと変貌を遂げたのは、人々の欲望をすくい上げた結果でした。
  • 『月9(げつく)』
    中川右介(ゆうすけ)
    (幻冬舎新書・1,404円)

  • 『2時間ドラマ 40年の軌跡』
    大野茂
    (東京ニュース通信社・1,620円)

  • 『NETFLIX コンテンツ帝国の野望』
    ジーナ・キーティング
    (牧野洋訳、新潮社・電子書籍1,750円)

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