• 2012年
    (平成24年)
    05月23日
    (水曜日)


    港区編

    ホンモノの東京新聞はこちらから


    編集長港区に現る。東京タワー大展望台で合成写真を撮影していただきました。 編集長港区に現る。東京タワー大展望台で合成写真を撮影していただきました。

     野口雨情の「赤い靴」は、童謡でありながら、どことなくこの世の暗部というか、子供達の知らない世界を想像させ、そして想像はするけれど、知らない方がいいのかも、という気分にさせる唄だ。勝手な想像で、異人さんが出てくるのだから港町を想像し、横浜か神戸が舞台の出来事がモチーフになっているのかと思い込んでいた。港町と言えばそうだけれども麻布十番だったのか、というわけで今回の徘徊は港区である。この唄に関する説明は「赤ちゃんの時、いろいろな事情でアメリカ人宣教師の養女に出されます」と、随分ざっくりとした説明だ。

    ひょっとすると、この文面を書いた人もあまり自信がなかったのか。赤ちゃんの時だったら、靴は履いていないんじゃないのか、と揚げ足のひとつもとりたくなる。これには様々な異説があるようで、
    そもそもこの「定説(?)」に登場する宣教師は北海道で布教をしていたアメリカ人で、「きみちゃん」が預けられる設定は無理があるとか、野口雨情の近親者によれば、雨情は特定のモデルがいる歌を作らない人だったとか、珍説にいたっては「赤」とは社会主義そのものの隠喩で、それが旧ソビエトに持ち帰られてしまったという意味だとか、もっと分かり易い「異説」(ただの勘違いか)では、「異人さん」ではなく「ひい爺さん」だ、「いい爺さん」だ、「人参さん」だ、「ヒアルロン酸」だと、肴がこれだけでも酒が二合飲める。もちろん最後のヒアルロン酸は捏造だが。さすが雨情、雨の中この碑と「きみちゃん像」をつぶさに観察するだけで結構な時間が経ってしまった。


    港区の皆さん!昔ながらの街と寄り添おうよ!
     港区と言えば、麻布十番、西麻布、赤坂、青山、六本木と、あまりにも有名な繁華街が目白押しだ。その中でもこの麻布十番は老舗や名店が多い。多いのに、最近は人通りも少なくなってしまい、何となく「赤い靴」のような寂しさを醸し出している。「がんばろう!麻布十番」のステッカーの意気込みが功を奏してくれることを願うが、近所に六本木ヒルズができたせいで、単に人を奪われただけではなく、地下通路のアクセスの利便性で、十番を通る人が極端に減ったのだという。「どこかのチェーン店」ばかりが並ぶ通路や商業施設より、個人店が点在する昔ながらの街と寄り添おうよ、港区にいる皆さん!

    。


     最近は、路上駐車の取り締まりが厳しく、というよりも黄緑色の二人組によるそそくさとした作業で徹底されているが、このパイロンは商店街の所有物なのだろうか、それとも警視庁の所有物なのか?知っている人がいても教えないでください。


    「中華レストラン・エリート」とはまた、どういうネーミングだろうと訝しんだけれど、私たちのニュアンスとは違う言葉だったのだな、当時は。当時がいつかはわからないけれど。


    近くには有名なたいやき店がある。何故「浪花家」なのかをご主人から聞き出し、又近くの老舗「たぬき家」のたぬきは年がら年中放置プレイのような表情で札をぶら下げているのだろうか
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    05月23日
    (水曜日)

    浪花家総本店のご主人に鯛焼きについて伺う

    麻布十番ともなると、診療所はビストロのような黒板仕立てだ。あったあった、懐かしい文房具店。試し折り用の大きめの折り紙が昔から置かれていて、重宝していたのだ。ガラスに「創作おりがみ」などと書かれたら、紙フェチの私は高揚してしまうではないか。

    たぬき煎餅は宮内庁御用達なのです。
    お、私の大好きな「総本家更科堀井」は今日も元気に営業中だ。着物の女将さんが飛んで出て来られて、「撮影だけじゃなくて食べてってくださいね!私は写りませんよ!」と言い残して店内に入られた。写りません、とは写る気はない、という意味だ。ドラキュラのそれではない。それはそうだろう。
    ビストロかと思いきや・・・病院です

      総本家更級堀井の前で記念写真
    宿敵・六本木ヒルズに近づいたところで、シンデレラ城発見!偶然できたコンクリート壁のツタの模様だけれど、花火でもあげたくなるフォルムではないか?多分、シンデレラの霊による「ここに城を建設せよ」というお告げだと思うが、立証はできない。ひょっとして、六本木ヒルズは現代日本のシンデレラ城なのかも知れない。違うと思うが。
    シンデレラ城にてお告げを受ける編集長

     近所には「薬局六本木フアマシィー」が。「ファーマシー」でも「ファーマシィ」でもなく「フアマシィー」だ。実際に口に出してみると、この方が正しい発音に近い気がする。さすが、麻布十番だ。あれ、六本木か。

    チロリアンテープでファンシーな気分に!
     フアマシィー、ではなくファンシーな店を発見。「メゾン・ド・ロア」という、一見「ビルの名前か」と思ったけれど、店名だ。直訳すると王様の家か。中には夥しくカラフルなリボンが置かれている。
    チロリアンテープと呼ばれる物らしい。店主は品のある婦人で、気まぐれな好奇心で覗いた私たち有象無象にコーヒーやクロワッサンを振る舞い、若かりし頃にドイツ人の医師と親しくなって、その関連から勧められて日本の総販売元になって数十年。需要も減り、仕入れに行く気持ちもないので、ここにあるものが売切れたらどうなるのかしら、と遠い目をしておっしゃるのが、ドラマの回想シーンに導入される部分のような雰囲気。是非末永くお元気で。

    ファンシーな気分の松尾編集長

     さて、港区にいるのだから、港区の冠たるランドマーク、東京タワーをバックに写真に収まらねばと、歩行者用の信号が青の瞬間を狙い、外苑東通りの真ん中で立って「ツーショット」を撮らんとすれど、生憎の雨で霞んで残念な画面に。しかたがないので、裏路地を歩くことにした。
    残念!天候不良のため東京タワー見えず

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    05月23日
    (水曜日)

    松尾編集長 思い出のお店等を巡る!
    何だろう、この黄色い看板の「六本木金魚」にある看板のシンボルマークは。ショーレストランでダンスやレビューのようなものが観られるエンターテインメントスペースらしい。しかしこの形は何だろう。てっぺんから「ろっぽんぎ」の文字が、六波羅蜜寺の空也像から出る念仏のように並んでいるのが意味深だ。 墓地の前にて墓地の前にて

     少し進むと、私にとっては懐かしいバーがいくつかある。あった、と言った方がいいかも知れない。近年亡くなったタレントで元ビジー・フォーのウガンダ・トラさんが、この墓地の向かいでバーを経営なさっていた。その名も「墓バー」。私はデビュー当時、先輩のタレントからよくここへ連れて行かれて馬鹿騒ぎに加担したものだ。その後、どこかの沿線で焼き鳥店をなさっていたと風の頼りに聞いたけれど、そちらには行く機会がなかった。巨漢タレントのハシリで、現在でも冗談慣用句となっている「カレーは飲み物」という迷言を生んだ異才だった。
     六本木の交差点の東側の角は、バブル以前、ディスコ文化の名所でもあった。「NIRBANA」の場所には以前、「キサナドゥ」があったのではないか。スクエアビルというディスコばかりが入ったレジャービルもあった。
    スクエアビル跡地は駐車場になっていました

    「ギゼ」「チャクラマンダラ」「フーフー」などといった有名店がぎっしり詰まっていた。「フーフー」はビルの最上階で、エレベーターではなく階段をフーフー言いながら昇れば、割引もあったなあ。ドレスコードも厳しかった。ジーパンは入店お断りという店が多く、学生の私たちが断られているのを尻目に堂々とジーパンで入って行く女性を見送りながら、「何でユーミンはええねん!」と文句を言ったものだ。ユーミンだからだけれど。

    気になる手書きのポスターです
    六本木を歩くと楽しい思いでがよみがえります

     このすぐ裏にも、行くと必ずと言っていい確率で吉川晃司君やドラマーの村上ポンタ秀一さんと遇えたバー「BOO!WHO?WOO!」が。昔、コント赤信号の小宮孝泰さんと林家こぶ平(現・正藏)さんと待ち合わせをしたら、こぶ平さん、随分と遅れて来たかと思うと女性連れで、15分ほどで二人で消えてしまい、「何か事件に巻き込まれたのでは!」と、携帯電話のない時代、六本木の街を小宮さんと二人で探しまわった思い出がある。
    こちらは今でも看板が出ているので今度行ってみよう。店の名前はそのままで全く違う人がやっているなんてことはよくあるけれど、続いているのかな。
    エスカレーターを登っていたら・・・
    エスカレーターを登っていたら・・・

    交通事故に遭遇! 大事にはいたらなかったようで何よりです 交通事故に遭遇! 大事にはいたらなかったようで何よりです

     日本一洒落た地下鉄の地上出口だと私が認めているのが、六本木の東京ミッドタウン前の出口だ。ここをエスカレーターから颯爽と上がって来る写真を撮ってもらおうと、一旦階下に降りるべく下りのエスカレーターに乗った途端に背後で大きな衝突音が。私を待ち構えてくれるはずのカメラマンも担当者も、事故の野次馬と化していた。私だけ見られなかったではないか。
     六本木は地下鉄の出口も自転車屋もオブジェも喫煙所も新しく洒落た雰囲気である、と思いながら通りかかったのが、ミッドタウンの向かいの斜めの道をを入りかけたラーメン屋「大八」の跡地だ。長年、小さな建物が風化して行くのを見ているが、こんな一等地に映画のセットかと思うような雰囲気で異彩を放っている。この辺りにも個性的な店が群生しているが、このままでは収まり切らなくなるので見切りを付けよう。

    牛乳でも飲もうと飛び込んでみたら・・・

     馴染みの店を見ない振りをしつつ路地をずんずんと奥へ入ると、タバコ屋の青い庇が。これはどう見ても近年取り付けられたようだが、全体の佇まいとの違和感は何だろう。もはや営業もなさっていないようだ。遊歩道の折れた杭の犯人像のプロファイリングをしながら彷徨っていると、「中洞牧場ミルクカフェ」という、これは何かの理念がないとこんな雰囲気になるはずがないと推察した私は、ここで牛乳を飲もうと飛び込んでみた。飛び込んだと言っても牛乳風呂じゃあるまいし、普通に入ったが。ここは見つけました、
    名店だ。岩手の中洞牧場のアンテナショップの役割らしいが、私が飲もうと思って待っていた牛乳の濃厚な味わいや舌への絡み付きとは全然違うさっぱりとした旨さ、それには理由があった。


     私たちが牛乳として飲んでいるのは、役所が決めた3.6%という脂肪の割合は、自然に野の草を食んでいる牛では達成しないのだそうだ。では何故そんな基準が設けられているかというと、脂肪率を上げるためにアメリカなどから輸入した飼料を食べさせなくてはいけないのだと。つまり、外圧によって私たちの口に入るものの基準が決められているのだと。これは腹立たしいことではないか。しかたがないので、ヨーグルトも頂いた。旨い!これは後には退けない、アイスクリームも頂戴しよう。お、美味しい!壁の時計まで美味しそうだ。

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    (平成24年)
    05月23日
    (水曜日)

    ちなみに撮影は真冬です。
    最後の晩餐に圧倒される編集長
    松尾編集長が東京タワーに登る!!
     何としても東京タワーをあきらめ切れない私たちは、やはり登るしかないと結論づけた。東京に住んでいれば、いつでも登れるという安心感があるので、逆に手を出さない物件になりがちだ。


     東京タワーは、かの「南極物語」を説明することもないが、本当に幻想的な電波塔だ。最近、世の中の目が極端に東京スカイツリーの方へ流れているが、実は東京タワーも、様々な部分で充実してきているのだ。もちろん、スカイツリーの開業に合わせたなどということはないのではないか?それならば、肩入れしようではないか!いや、そんなことがなくとも私は東京タワー好きだ。登ってやろうではないか、展望台に。幻想的なエレベーターに乗って、やって来た東京の伝統的名所!……何も見えません!雨で霞んでしまって、景色もへったくれもないではないか!笑うしかない!そう、笑って待つしかないのだ。
    それこそ、東京スカイツリーの展望台はこれよりも更に高いので、景色が霞んで見えないということは、しょっちゅう起こりうる。それは、こちらから見上げるスカイツリーの展望台が、頻繁に霞んで見えることでわかりそうではないか!こちらから見えないのに、あちらから見えるわけがないのだ。物事には、程々ということがあるのだろうな。

    ノッポン兄弟と楽しく交流しました。
    ノッポン兄弟と楽しく交流しました



    編集長、東京タワーの1番の難所を通過!
    編集長、東京タワーの1番の難所を通過!

     タワーで一番の難所は、ルックダウン・ウィンドウだろう。その割にはいっぱい遊ぶのだった。ここでの綱渡りに興奮できない人と、私は友達にもならないし、フェイスブックでも繋がらない。そんな決意を新たに、タワーをおりたのだった。
    双眼鏡を借りて展望する編集長
    双眼鏡を借りて展望する編集長

     東京タワーと言えば、蝋人形館だ。なぜか、社会からの評価だけではない基準で蝋人形が制作・展示されている。結構な広いスペースにジャーマン・ロックのスターたちやレオナル・ド・ダビンチが書いた「最後の晩餐」を立体化したものが、大きく三次元で再現されている。そして、今となってはそのことが素晴しく思えてならない。マスコミ業界も含め、すべての商業的なものがマーケティングリサーチと前例主義に陥っている中、この発想は「好きなんだもん!」という哲学で貫かれているのだった。きっと、「これは誰が買うのか」という雰囲気の個人商店が増えてしまっているのもいい証拠だ。東京スカイツリーにこの味は出せないだろうな。




    タワー開業当初の様子を東京堂の青山さんに伺う編集長
    タワー開業当初の様子を東京堂の青山さんに伺う編集長  こんなことを言いながら、追い出される前に「東京カレーラボ」でカレーを食べ、◯。こちらのゆるキャラ・ノッポンとの交流も忘れないようにする大人としては、△だ。 カレーを食べる編集長
    カレーを食べる編集長 カラフト犬の記念像の前で敬礼する編集長
    カラフト犬の記念像の前で敬礼する編集長
    スポット情報

    ●浪花家総本店
    港区麻布十番1?8?14
    TEL 03-3583-4975
    http://www.azabujuban.or.jp/
    1403.html


    ●たぬき煎餅
    港区麻布十番1-9-13
    TEL 03-3585-0501
    http://www.tanuki10.com/

    ●メゾン・ド・ロア
    港区麻布十番1-5-3
    TEL 03-3401-2651
    http://www.mdrjp.com/

    ●中洞牧場ミルクカフェ
    港区六本木7-4-14
    TEL 050-2018-0111
    http://nakahora-bokujou.jp/blog/sale/
    milkcafe/


    ●東京タワー
    港区芝公園4-2-8
    TEL 03-3433-5111
    http://www.tokyotower.co.jp/

    ●東京タワーろう人形館
    東京タワー内フットタウン3F
    TEL 03-3436-6661
    http://www.tokyotower.co.jp/foottown/3f_01
    .html

    編集長松尾貴史
    松尾貴史

     1960年神戸市生まれ。大阪芸術大学デザイン学科卒業後、研究室勤務のかたわら、ナレーターとしてデビュー。テレビ、ラジオ、映画、舞台、エッセイ、イラスト、カレー店など、分野にこだわらず活動。著書に「接客主義」「ネタになる統計データ」など。最新刊は「なぜ宇宙人は地球に来ない?笑う超常現象入門」を編み直した「超常現象・都市伝説」(PHP研究所)。