• 2013年
    (平成25年)
    04月24日
    (水曜日)


    目黒区編PartⅠ

    ホンモノの東京新聞はこちらから


    本日の編集長(自由が丘駅前にて) 本日の編集長(自由が丘駅前にて)さて、何やら高級感の漂う目黒区である。東横線が通っていることから考えても、おしゃれでエレガントでハイソサエティでさんまが美味い地域、というのが一般的な印象ではないだろうか。いや、さんまは嘘である。落語の「目黒のさんま」の内容を聴いたことがない人で、タイトルだけは耳にしたことがある人は結構いるのではないか。「桑名の焼き蛤」「大間のまぐろ」のような名物を想像しても責められないだろう。もちろん、目黒の名物にさんまはない。たまたま目黒でさんまを食わせてもらったので、世間知らずの殿様が「さんまは目黒に限る」と言い放つ滑稽な話だ。余談だが、私の参加している俳句の同人、「駄句駄句会」の宗匠、山藤章二画伯は目黒区の出身なので、俳号を「三魔」とされている。
    その、故事ではない滑稽話にちなんで、さんまの祭りができたという。それも二つ!「なんだかなあ」と思っていたら、岩手県宮古のさんまが振る舞われる「目黒のさんま祭り」と、宮城県気仙沼のさんまが振る舞われる「目黒のSUNまつり」で、 毎年、目黒駅を挟んで近い時期に行われているらしい。これは応援しなければならないと、今頃慌てている始末さ。

    向かった先はアーバンな街”自由が丘”

    やはり、東横線沿線で、いつもとはちょっと違うアーバンライフな内容にしてみようと、もちろん向かった先は自由が丘だ。「ガオカ」などという恥ずかしい略称は使いたくない街だ。北側に歩けば目黒通りがあるものの、駅周辺の界隈はそれほど大きくない道ばかりなので、大規模な開発もされないだろうし、チェーン店が入り込む割合が少ない。元々高級住宅街だというだけではない風格を保っているのも、地域全体の構造的な要因があるのではないかと想像する。世田谷の下北沢の再開発などは、歓迎できるのは踏切の待ち時間がなくなったということだけだ。

    怪しからぬことに、北側に幅26メートルの道路を、個人店を立ち退かせて作るという。もちろん、幅の広い道路は、その脇に巨大な高層ビルを造りたいからだろう。防災だ何だといっているけれども、下北沢に環七と同じ幅はいらないだろう。その証拠に、道の長さはほんの数百メートルで、ビル開発ありきなのは明白だ。画一化された開発で逆に衰退してしまっている地方都市の駅前と同じような、いやそれ以上の打撃と損失を生むのは明白だろう。下北沢の街で発酵・熟成してきた、民衆の文化、音楽、藝術、サブカルチャーは、無味乾燥の近代ビルに踏みつぶされようとしている。

    セレブな中にもノスタジック感漂う街なんです セレブな中にもノスタジック感漂う街なんです

    「○○は□□のホームラン王です」のお店です

     話が逸れたが、自由が丘はおそらく、しばらくはそういう心配がなさそうだ。なぜなら、無理な開発を主導する側の人種も愛着を持っているだろう街だからだ。変な言い方。でも本当にそう感じる。何と言うか、高級感があるのだ
    お店の前でパチリ お店の前でパチリ

    高級感と言えば、和菓子だ。そうか?間違ってはいない。では、この地で長らく営業している、「亀屋万年堂」の「自由が丘総本店」に堂々と潜入してみた。こちらの看板商品、「ナボナ」は発売50周年だそうだ。子供の頃、全国ネットのお笑い番組で、「○○は□□のホームラン王です」というパロディというかもじりのギャグが出てきて、何がおかしいのかがわからなかった。
    松尾編集長もご満悦 松尾編集長もご満悦

    ノスタルジックなムード ノスタルジックなムード

    そう、王貞治さんがそう宣言するコマーシャルは、神戸には流れていなかったのだ。東京の子供が「京橋はええとこだっせ、グランシャトーがおまっせ」を知らないのと同じことだったのだ。いや、関西でも深夜のコマーシャルだから子供は知っていてはいけないのだが。
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    「甘い」お店から「辛い」お店へ!
     快活明朗な若き店長の優秀な笑顔に見送られ、熊野神社の外から参拝し、甘いお店「万年堂」から辛いお店「香辛堂」へ。以前から気になっていた、スパイスの専門店だ。店内にはありがたい香りが充満している。
    いや、三充満も四充満もしている。この香りを嗅いでいるだけで、浄化作用があるような気がするほどだ。きっとこういう店は頑固で神経質そうな店主が理屈っぽいしかめっ面で無愛想に客人を迎えるような気がしておっかなびっくり足を踏み入れた途端、「こんにちはー」と爽やかに出迎えてくださった。そして、両手を差し出された。固い握手。こんなにフレンドリーなお店だとは思わなかった。開口一番、ではなかった、開口一番は「こんにちはー」だった、開口二番、「下北沢の『般°若(パンニャ)』(実は私が4年前から細々と経営しているカレー店)へは、何度か行かせて頂きました」とおっしゃるではないか。きっといい人だ。
     店内には、クローブ、ターメリック、クミン、カイエンヌペッパー、ディル、カルダモン、スターアニスなどのオーソドックスなものから、へえ、こんなのがあるのか、という珍品までいろいろと取り揃えられていて、いろんな使い方の提案やアドバイスももらえるので、趣味で料理をされる方はステップアップのきっかけ作りに訪問されると良いのではないか。個人的に、「洋風七味」なるブレンドスパイスを購入。 レンガ調のおしゃれな外観

    店主の話に興味津々

    お気に入りをご購入

    松尾編集長も大絶賛!古町糀製造所

    スキップしながら「理容イガラシ」の赤白青のサインポールの上に乗っかった、女装した鶴瓶さんのような生首をからかい、「SNACK・ノ甲田」に「何ノ甲田なのか!」と突っ込み、それが「八甲田」のピースが一枚落ちているだけだったことに気づいて看板に詫び、雑貨屋でそろそろ必要な老眼レンズを物色して、古町糀製造所へ。

    おしゃれなレンズが並ぶ

     古町という名前はきっと経営者ではなく本家のある場所だと思って入店、やはりそうだった。新潟市の古町、私の好きな居酒屋やバーが数軒ある、とてもほどのよい街だ。きっと新潟米でできる糀を加工して健康食品として販売しているのだろう。健康に良いものはたいてい味や香りの評判が悪いが、こちらは味見した全品、そして私たちが全員大絶賛だった。ここは覚えておこう。ちなみに、「麹」ではなく国字の「糀」にしているのは、米からできた花やかな物としてのイメージを尊重したい意図があるらしい。

    生首の顔マネにはまる松尾編集長

    お店で試飲中

    店員さんにお勧めを伺う

    かえるのお金はドコへカエル?

     自由が丘にも、自由が丘だからか、まあ土地柄には関係ないか、大変に趣味性の強い名店がある。マーケティングリサーチを判断の根拠にしている業態とは完全に別世界である。こぢんまりとした雑貨屋に入ると、カエル、カエル、カエルがびっしりの世界があった。ほとんどの商品が、緑ないし黄緑色なのだ。


    カエルレディーとパチリ

     そしてすべてが、カエルのイメージ、カエルのデザイン、カエルのディテール、カエルのテクスチャー。店名もずばり「FROGS」だ。げろげーろ。「銭が返る」から縁起が良いというのだが、金は天下の回り物である。他所へ返ってしまったらどうなるのだ。げろげーろ。金が返る所と言えば、日本銀行や財務省印刷局だ。それではデフレからの脱却はできない。

    カエルワールドにご満悦

     私の知人にはカエル恐怖症の人がいて、カエルの鳴き声をするだけで過呼吸の発作が出てしまう。この店のことは内緒にしておこう。げろげーろ。そういう事情のない方は、ぜひ遊びに行かれるが良い。そして、ガチャガチャですこぶるリアルなカエルのマグネットを買うが良い。そして、何かの折に、私にくれるが良い。けろり。




    ガチャガチャがあるとついついご購入

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    04月24日
    (水曜日)

    舌に乗せようじゃあねえか、鮨てえ物を!
     さて、自由が丘と言えば、飲食の名店も多い。今回は一つ、せっかく豪勢な街にいるのだから、ちょいと舌に乗せようじゃあねえか、鮨てえ物を!地元に根付いたほどのよいラインで、痒い所に手の届く昔ながらの鮨店「佐治」の、絶妙の匙加減を見よ。良いネタを結構な塩梅になるまで食べたが、このお勘定は中々に庶民的なものだった。みんながすすめるものだから、ビールを飲んでしまったではないか。あと、日本酒を数杯。
    大将のお寿司に舌鼓
    大将のお寿司に舌鼓

    ビールも進む松尾編集長
    ビールも進む松尾編集長



    自由が丘を徘徊!
    編集長の昔のお住まい。是非探してみては…!?
    洗濯物も自由が丘仕様

    時節柄、鯉のぼりがはためいているなあと思ったら、洗濯物だった。自由が丘の洗濯物はお洒落であると感じるのは私の単なる先入観か。またもや見つけた、遺失物。
    墨田区でも見かけた「落とし物を電柱にぶら下げる風習」が、目黒区にもあった!ぶら下がっている物がそれなりに「目黒区」を感じさせるが。路肩に置かれた駐車禁止の意思を表すパイロンが、ビルと同じ色にコーディネートされているのは偶然か、自由が丘の心意気か。
     占いの店にも心惹かれた。占ってほしいのではなく、数々のおかしな所に突っ込みたくなるのだ。しかし、今日は外側だけにしておこう。黄色くどでかい「占」の文字が中央のかなりの面積を「占」めているポスターに、「TV・ラジオで有名な先生方が毎日毎日出演中」という触れ込みを発見。何だこりゃ。そう書く前に、有名なら名前を大きく出せば良いのに。小さい文字で数名の占い師の名前があった。どれどれ……、誰も知らないや。

    ダンス用品が気になる松尾さん
    ダンス用品が気になる松尾さん

    ダンスショップもある。自由が丘、社交ダンス。イメージがぴったりくるぞ。くるのだけれども、「ダンスパーティー用品」とは、どんな物なのだろう。仮面舞踏会の貴婦人やSMの女王が着用するようなあれだろうか。
    紀州梅を味見三昧
     梅干し好きの方はぜひこちらへどうぞ。紀州南高梅の専門店、「福梅本舗」は、使い方、ニーズに合った絶品梅干しを手に入れることができましょうぞ。
    ただいま梅干し物色中
    ただいま梅干し物色中

    味見をしながら選べるので、温かいご飯を持って来るようなことはしないように。鰹味の利いた皮切れ梅を購入、道すがらヨダレが止まらず。 店主の梅干しレクチャー
    店主の梅干しレクチャー

    パラソルが気になって仕方ない!
     さすが自由が丘、というアイテムを発見。と言っても、ここで作られている訳でも地域限定でもないが、スタンドで脇からつり下げるタイプの、それも大きな長方形のパラソル。柱が真ん中にないので、スペースが有効に使える。クランクを回せば容易に傘を閉じたり開いたりすることができるこの名品、おそらくは数十万円はするだろうなあ。モエシャンドンのロゴが入っていたから、ノベルティの一種だとすれば、なんと言う豪勢な景品。

    パラソルの前のシャンパンが気になる松尾さん
    パラソルの前のシャンパンが気になる松尾さん

    スポット情報

    ●亀屋万年堂 自由が丘総本店(ナボナ、和菓子の専門店)
    東京都目黒区自由が丘1-15-12
    TEL:03-3717-0400
    URL:http://www.navona.co.jp/


    ●香辛堂(スパイス専門店)
    目黒区自由が丘1-25-20
    TEL:03-3725-5454
    URL:http://koushindo.net/


    ●古町糀製造所(糀専門店)
    東京都目黒区自由が丘2-9-6 Luz自由が丘1F
    TEL050-3338-4673
    URL:http://www.furumachi-kouji.com/


    ●FROGS(カエルグッズ専門店)
    東京都目黒区自由が丘2-9-10
    TEL:03-5729-4399
    URL:http://www.frogs-shop.com/


    ●すし処 佐治(地元で人気のお寿司屋さん)
    東京都目黒区自由が丘3-10-18
    TEL:03-3724-2424
    URL
    http://www.sushi-saji.jp/

    ●福梅本舗 自由が丘店(紀州梅干専門店)
    東京都目黒区自由が丘2-17-6 THE・FRONT2F
    TEL:03-5731-3550
    URL:http://www.fukuume.com/kaisha-annai/jiyugaoka.htm


    ●古桑庵(茶房ギャラリー)
    目黒区自由が丘1-24-23
    TEL:03-3718-4203

    URL: http://kosoan.co.jp/


  • 2013年
    (平成25年)
    04月24日
    (水曜日)

    茶房古桑庵でまったり、ほっこりの松尾編集長
    店主にオススメを伺う

     またもや洒落た雑貨屋、文房具屋などを彷徨き、品川区の回で欲しくなってしまったのか、今頃万年筆を購入。これで文藝家を気取れるぞ。文藝家気取りに浸って落ち着ける環境を探してやって来たのが「茶房古桑庵」だ。どう見ても百年近くたっている古民家に手を入れて、落ち着いた空間を作り出している。数分間「ぼうっ」とするだけで、自由が丘にいることを忘れてしまいそう、とは、我ながら何という陳腐な書き草か。ここなら2時間でも「ぼうっ」とすることが容易だろう。なぜなら私は、普段から「ぼうっ」としているからだ。

    古民家の守り神

    お抹茶に舌鼓

    季節の展示物の中にジオラマが!
    脇の小部屋は貸しギャラリーになっていて、季節的な展示がよくなされるらしい。私がうかがった折は、ご主人の趣味の鉄道模型がジオラマとともにディスプレイされていて、なかなかに贅沢な隠居生活があるものだと感心。ついでに言えば、ご隠居かどうかも知らない。調度品や装飾物の数々は、それぞれに謂れのある物のようで、色々と解説をうかがったが、ご興味のある方は直接行って聞かれよ。辛党の私だが、京都弁でいう所の正しい「まったり」とした白玉抹茶ぜんざいを頂いて、京都弁でいう所の正しい「ほっこり」状態。 いや、自由で結構な街だ。


    編集長松尾貴史
    松尾貴史

     1960年神戸市生まれ。大阪芸術大学デザイン学科卒業後、研究室勤務のかたわら、ナレーターとしてデビュー。テレビ、ラジオ、映画、舞台、エッセイ、イラスト、カレー店など、分野にこだわらず活動。著書に「接客主義」「ネタになる統計データ」など。最新刊は「なぜ宇宙人は地球に来ない?笑う超常現象入門」を編み直した「超常現象・都市伝説」(PHP研究所)。