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  • 2014年
    (平成26年)
    06月25日
    (水曜日)

    松尾貴史無責任編集東京深聞
    豊島区編
    ホンモノの東京新聞はこちらから

    松尾編集長が脱力系の街、豊島区を訪ね歩く。
     

      なぜ豊島区は「とよしま」ではなく「としま」なのだろうか。「としま」という響きは、年嵩の女性を想像させる。女性を「年増」と表現するときっと当人には不快に思われることが多いだろうが、そもそも年増とは二十歳あたりを指すそうだ。昔の二十歳だから、満で言うと20歳ではなく、18歳?19歳だろう。「娘十八番茶も出花」から、良い感じに成長した頃合いが年増という状態で、どちらかと言えば褒め言葉だったのだろうけれども、今のアラフォーの人たちですら、年増というとむっとするだろう。蛇足ながら、「大年増」は30歳あたりを指すらしい。初老の男性、などというが、本来は四十だそうで、私などは完全に老人ではないか!
     何が「蛇足ながら」だ。ここから前が全て蛇足ではないか。いやいや、これはこれで楽しいものだ。と老人らしくひとりごちてみたぞ。

    本日の編集長:JR池袋駅東口にて。
    本日の編集長:JR池袋駅東口にて。
     豊島区である。元々、この辺りの領主だった豊島氏の名が由来で、この地域も「北豊島郡」と言ったそうだ。北区、板橋区、練馬区等を含む広い地域だったのが、行政区分が変わる時に、中心部だった板橋区ではなく、たまたま栄えていたこの界隈が豊島区と名付けられたそうだ。ついでに言うと、その元となった豊島という地名自体は北区にあるらしい。そして、「としまえん」は練馬区だ。
     東京の四大繁華街のひとつ、池袋を外して考えるのは無理がある。しかし、池袋は、他の三つの街と違う空気を感じてしまうのだ。「新宿」「渋谷」「銀座」をこよなく愛す、という人々はなぜか多いが、「池袋」をこよなく愛すという友人知人を私は知らない。単にそれぞれの発信力のせいもあるのだろうか。「たまたまそうだ」というだけだろうが、あれだけ栄えている大都会だというのに、何か少し魅力薄に感じてしまうのはなぜだろうか。それぞれの店舗や施設は魅力があるのに、池袋という街の構成が、何となく脱力感があるのだ。

    池袋のメインストリート、東口からスタート

     

    札幌出身の彫刻家、本郷新さんの作品でした。 札幌出身の彫刻家、本郷新さんの作品でした。
    事故防止のためにもひとつ50kg以上もあるのだとか…。 事故防止のためにもひとつ50kg以上もあるのだとか…。
    池袋のイメージキャラクターでもあるフクロウがモチーフの交番。 池袋のイメージキャラクターでもあるフクロウがモチーフの交番。

    規模的には間違いなく大都会なんだけど…なんとなく脱力系な町並み。
    規模的には間違いなく大都会なんだけど…なんとなく脱力系な町並み。
     


     今回は東口から散策してみることにした。不思議不思議の池袋東が西武で西東武、というカメラ店のコマーシャルソングも懐かしく、久しぶりにこの地へやって来た。グリーンシアターやサンシャイン劇場、東京芸術劇場などに芝居で出演する時か、あるいは知人の舞台を観劇に訪れる以外にはなかなか来ないので、土地勘も薄い。北の方に行くから涼しいだろうと皮のジャケットで後悔をしながら歩き出した。駅開設77周年という半端な記念に作られた母子像が設置されているが、意味はわからない。大きな左手に乗っている小さな母子なのだが、構図を決めるデッサン時に、右手で描くから左手をモデルにしたのだ、という消極的選択は想像したくない。してしまったが。
     駅前ではなぜか地面が気になり、マンホールなどの金属製の蓋が気になって仕方がない。

     

    古い電電公社のシンボルマークや、「救7F」と彫られたもの、桜の装飾に「合流」と指示されているもの、イチョウに「電」の字が重なったもの、「管布設」と彫られ「◎◎◎◎年」が完全に読めないもの、様々だ。地面の写真を撮っていると、百貨店の警備員が不審そうにみているので前を向いて歩くことにする。
     駅前の洋菓子店の9階にあるコーヒーラウンジでコーヒーを頼む。気位の高そうなアルバイトと思しきウエイトレスの女性が、私たちが店を出るまで一度も笑顔を見せることなく毅然と応対していたのがかえって清々しい。窓の外を見下ろすと、交番が鳥のようなデザインになっている。モティーフはフクロウの頭だろうか。なるほど、夜行性だから寝ずの番をするぞという決意の表れだろう。

     
       

     

         
     
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    池袋から要町方面へ足を延ばして探索  

    カレー好きな編集長は、カレーと聞くと入らずにはいられないのです。
    カレー好きな編集長は、カレーと聞くと入らずにはいられないのです。
    香り豊かなカレーは、熟成よりもスパイシーさを考慮したレシピ?すごく美味しかったです。
    香り豊かなカレーは、熟成よりもスパイシーさを考慮したレシピ?すごく美味しかったです。
    「かえる食堂」はカレーもさることながら、ご主人の奥様も評判なのだとか。(ご主人談)
    「かえる食堂」はカレーもさることながら、ご主人の奥様も評判なのだとか。(ご主人談)


    なぜか遮断機のない踏切ではしゃぐ編集長。ここは恐らく奥の民家への私道だと思うんですが…。
    なぜか遮断機のない踏切ではしゃぐ編集長。ここは恐らく奥の民家への私道だと思うんですが…。

     少し移動して、住宅街へ。祥雲寺という寺に石ノ森章太郎先生の墓があるというので、お参りさせてもらった。この寺の墓地にはソーラーパネルが張り巡らされていて、持続可能な自然エネルギーを推進している様が、最新技術なのに仏様のご意思をも感じさせる“目から鱗”の光景だった。石ノ森先生の墓石は、それほど苦労せずともすぐに見つけることが出来た。写真をご覧いただければその理由がすぐにお分かりだろう。
    ソーラーパネルで自家発電も行うハイテク寺。まさにSFの巨匠が眠るお寺です。
    ソーラーパネルで自家発電も行うハイテク寺。まさにSFの巨匠が眠るお寺です。

    ご自分で生み出されたキャラに囲まれて眠る石ノ森先生。「サイボーグ009」の最終回読みたかったです…。
    ご自分で生み出されたキャラに囲まれて眠る石ノ森先生。「サイボーグ009」の最終回読みたかったです…。


       墓石と卒塔婆と供花と馴染みしサイボーグ。「佐武と市捕物控」やら「仮面ライダー」やら、お馴染みの遺作が刻まれ彩色されていて、ファンには有り難いばかり。最近は供花の盗難が多いとのこと、皆様お気をつけて 。
      ずんずん歩くうちに、この辺りにカレーの名店があるという情報を入手。もちろん、これは立ち寄らざるを得ない。立ち寄れば、喰わざるを得ないではないか。その名も「かえる食堂」という可愛らしさ。カレーソースの表面には、ラテアートならぬカレーアートのかえるさんがサービスされている。調整の様子を拝見するに、うちの店(下北沢&大阪・新福島の「般°若(パンニャ)」です)とプロセスに共通点がありそうな雰囲気、きっと私の好きなスパイシーさ、香りの良さを大切になさっていると感じてありがたく頂戴、まことに好みの、誠実さがうかがえる味作り、感じ入りました。

    石ノ森先生のお墓がある要町付近の祥雲寺にて。
    石ノ森先生のお墓がある要町付近の祥雲寺にて。

     
    都電荒川線にゆられてノスタルジックな気持ちに?  

     荒川線のホームの注意書きを読もうと近づいたら、複数の自転車の鍵が板の上にぶら下がっている。隠すなら、もっと目立たない所にすれば良いし、落とし物ですよ、ということならば持ち主に返す努力をもう数ミリしてみても良いのではないかとも思う。複数の人間で一つの自転車を共有する為の習わしがこの地にあるのならわからないでもないが、それにしては不用心で杜撰ではないか。
    乗りもしないのに、乗り込む振りをする編集長…運行の邪魔しちゃ駄目ですって。
    乗りもしないのに、乗り込む振りをする編集長…運行の邪魔しちゃ駄目ですって。

       ホームで、三ノ輪橋行きに乗るふりをしてみた。我が師・原田芳雄の生まれ故郷に向かう電車、きっと芳雄さんも若い頃は頻繁に乗った路線なのだろうなあ。しかし可愛らしいというか、スリムというか、車幅が小さい。乗車して、扉が閉まったら側面に両手と両足を内壁に突っ張って床から浮くことも可能だろう。しないがな。

    ホームの看板に無造作にぶら下がる自転車のカギふたつ…落とし物ですかね?
    ホームの看板に無造作にぶら下がる自転車のカギふたつ…落とし物ですかね?

     
     

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    (水曜日)

     沿線の裏路地に食堂発見。メニューの「カレー 自家製カレー(辛い)¥ 1000」がすこぶる気になった。説明が「辛い」という一言が、逆に気を惹いているではないか! 満腹で断念。
     遮断機のない踏切で、ここは東京都なのかと突っ込みを入れながら踊りつつ、雑司ヶ谷霊園に到着。墓場の中を右往左往してみたら、出るわ出るわ、歴史上の人物やら文豪の墓が。有名な墓なのに、個人情報だか肖像権だか意匠だかで、名指しの撮影を許されないので、皆様には隔靴掻痒の形で写真をお見せすることになったが、それもまた趣向だと思って頂ければ故人も冥土で喜んでくれるかも知れない。

    武蔵野うどんの特徴は、きしめんのような太さとその歯応えだそうでございます。
    カレーの説明が「辛い」の一言。欧風なのかインド風なのか…せめてそれだけでも教えて欲しいところです 。

       彷徨くうちに、またもや都電荒川線の駅に辿り着いた。駅名は、「東池袋四丁目サンシャイン前」だ。ところが、写真でもわかる通り、サンシャインは向こうの方のビルの谷間にちょいと見切れる感じで望めるが、少し霞むほど遠くだ。これをよく「サンシャイン前」と名付けたものだと、勇気に敬服。
    単なる通りすがりのお姉さん2人。日ニットにピンクの花柄と完璧なユニゾンは狙ったものなの?
    単なる通りすがりのお姉さん2人。白ニットにピンクの花柄と完璧なユニゾンは狙ったものなの?



     


    雑司ヶ谷霊園にはジョン万次郎、小泉八雲、夏目漱石、竹久夢二、泉鏡花など多くの著名人のお墓があるんです。
    雑司ヶ谷霊園にはジョン万次郎、小泉八雲、夏目漱石、竹久夢二、泉鏡花など多くの著名人のお墓があるんです。

    「サンシャイン前」と呼ぶにはちょっと遠すぎるような…。
    「サンシャイン前」と呼ぶにはちょっと遠すぎるような…。

    多くの大物漫画家を輩出したトキワ荘の記念施設にて、レレレのポーズ
    多くの大物漫画家を輩出したトキワ荘の記念施設にて、レレレのポーズ。
    今では入手が難しい、手塚治虫先生の初版本がずらりと展示。誰でも読めるのが嬉しいです。
    今では入手が難しい、手塚治虫先生の初版本がずらりと展示。誰でも読めるのが嬉しいです。

    店内におかれた落書きノートには、プロの漫画家の書き込みも。写真は平松伸二先生直筆のイラスト。
    店内におかれた落書きノートには、プロの漫画家の書き込みも。写真は平松伸二先生直筆のイラスト。
      漫画界の神様たちが暮らした街
     

     ちょいと足を伸ばして、かつて昭和の漫画の巨匠たちが暮らしたことで有名な、トキワ荘の記念施設「トキワ荘通りお休み所」に立ち寄ってみた。これこそ文化と言いたくなりような、地元の有志が手弁当とボランティアで運営している、すこぶるハートウォーミングなスポットだ。

      私のように、一度は漫画家を志した人間にとっては、垂涎の漫画、物品、写真、資料のあれこれ。これほど「経済的」にみて贅沢なひとときを過ごせる界隈も、東京ではなかなかないのではないだろうか(あくまでも個人の感想です)。
     

    トキワ荘に住まれていたマンガ家のみなさん。赤塚不二夫先生のハンサムっぷりが半端ないです。
    トキワ荘に住まれていたマンガ家のみなさん。赤塚不二夫先生のハンサムっぷりが半端ないです。



     
     
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    06月25日
    (水曜日)

    トキワ荘の住人が通ったという伝説のお店「松葉」の前で、ラーメンすする風の編集長。モデルはラーメン大好き小池さん?
    トキワ荘の住人が通ったという伝説のお店「松葉」の前で、ラーメンすする風の編集長。モデルはラーメン大好き小池さん?
      商店街をあげての“トキワ荘”押し。ライバルは祖師谷のウルトラマン商店街でしょうか。
    商店街をあげての“トキワ荘”押し。ライバルは祖師谷のウルトラマン商店街でしょうか。
      トキワ荘跡地には、当時の模型の石碑が。なぜがゴジラの手つきで威嚇する編集長。
    トキワ荘跡地には、当時の模型の石碑が。感慨深そうに見入る編集長。
    銘酒処 串駒さんの看板料理『いしりみぞれ鍋』。イカワタで作る魚醤のスープと、荒くおろした大根が絶妙にマッチ
    銘酒処 串駒さんの看板料理『いしりみぞれ鍋』。イカワタで作る魚醤のスープと、荒くおろした大根が絶妙にマッチ。

    スポット情報

    ●祥雲寺
    東京都豊島区池袋3-1-6
    03-3984-2408

    ●かえる食堂
    東京都豊島区池袋3丁目6?1 第2京花荘
    03-5950-6077

    ●雑司ヶ谷霊園
    東京都豊島区南池袋4丁目25-1
    03-3971-6868

    ●島区トキワ荘通りお休み処
    東京都豊島区南長崎2-3-2
    03-6674-2518

    ●銘酒処 串駒本店
    東京都豊島区北大塚1丁目33-25
    03-3917-6657



    街のいたるところにトキワ荘のモニュメント。改めて見ると本当にすごいメンバーを輩出してますね。
    街のいたるところにトキワ荘のモニュメント。改めて見ると本当にすごいメンバーを輩出してますね。


     
     地元の有名店を見つけたと、担当君が勢い込んで予約してくれたのだが、到着するもなかなか話が上手く通じていない様子の「串駒」という居酒屋で「編集会議」。大塚駅から歩いて5分ほどの所にある銘酒処といった雰囲気。てっきり串焼き屋か串揚げ屋かと思えば、串は最初の一品のみだった。

    カレー塩でたべるコロッケは、洋風料理ながら日本酒がぐいぐい進んじゃいます。
    カレー塩でたべるコロッケは、洋風料理ながら日本酒がぐいぐい進んじゃいます。
       とにかく、良い酒を飲ませる為に工夫は惜しまねえよ、という感じの絶妙のつまみが目白押しで、これは会議などしている暇はないと、するすると名酒や銘酒が喉を自分から侵入してくる異空間。ご主人の、浮世離れした仙人のような出で立ちと眼光と、それでいてすこぶる通俗的な話の種にも振り回される奇妙な快感に、「としま相手」の夜は更けるのだった。
    鯉尽くしの前菜。もちもちした食感は更なる食欲を促し次の料理が待ち遠しくなります。
    鯉尽くしの前菜。もちもちした食感は更なる食欲を促し次の料理が待ち遠しくなります。
     
    松尾貴史   編集長松尾貴史
    1960年神戸市生まれ。大阪芸術大学デザイン学科卒業後、研究室勤務のかたわら、ナレーターとしてデビュー。テレビ、ラジオ、映画、舞台、エッセイ、イラスト、カレー店など、分野にこだわらず活動。著書に「接客主義」「ネタになる統計データ」など。最新刊は「なぜ宇宙人は地球に来ない?笑う超常現象入門」を編み直した「超常現象・都市伝説」(PHP研究所)。

     

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