伊豆大島(いずおおしま)
東海汽船・竹芝、横浜、熱海-大島、全日空・羽田-大島空港、新中央航空・調布飛行場-大島空港
伊豆大島 マップ
伝統の味くさや

 時が止まったように静かな港にジャポーンと水の音。地元の子どもたちが海に飛び込み、「コロッケが揚がったよ」と声がする。波浮港の鵜飼商店は泳ぎ疲れた子どもたちがコロッケやメンチを買いに来る小さな店。店主の鵜飼昭男さんは幼少時に島へ移り住み、戦後の波浮の歴史を見守ってきた。

「昭和30年代まで遠洋漁業の中継地として栄え、港に船が300も400も集まった。船員が島に上陸してにぎわい、日本一稼げる場所といわれたんですよ」。やがて漁業の技術が発達して中継港は不要となり、港に静寂が戻る。観光客をやさしく迎える風光明媚(めいび)な景色はかつて与謝野鉄幹、晶子、林芙美子らを魅了した歴史を誇り、港の周辺には大島を訪れた文豪の碑が建てられている。

 島の名物・くさやの藤文商店へ。店主の藤井敏夫さんは300年間続く伝統の製法を守り続ける。くさやの独特のにおいも、島の風に吹かれながら食べると気にならない。かむほどに口の中にうまみがひろがり後を引く。「都内に持ち帰ってマンションで焼いてもこのおいしさは味わえないとよく言われます」。伝統の味に乾いた風、澄んだ海に子どもたちの笑顔。島の恵みに出合うのに、竹芝からの1時間45分は決して長くはない。(池沢なつ)

(電話)

★鵜飼商店 04992(4)0521  ★藤文商店(4)1138  ★港鮨(4)0002  ★踊り子の里資料館(旧港屋旅館)、旧甚の丸邸(2)1446=大島町観光商工課

2012年8月4日(土曜日)掲載分

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