中井(なかい)
◆中井(新宿区)
西武新宿線、都営大江戸線中井駅下車

中井マップ
 

 うだるような暑さの中、中井駅から閑静な住宅街へ。妙正寺川沿いを歩いていると時折ふっと涼しい風を感じて気持ちがいい。妙正寺川流域は明治時代から染色 産業が盛んな場所で、現在も染色工房が多い。江戸時代に神田紺屋町で工房を構えていた染色職人たちが、明治以降、よりきれいな水を求めてこの地に移ってき たのだという。

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 染の里二葉苑=電話03(3368)8133=は、老舗の江戸染色の工房で、かつては目の前を流れる妙正寺川の水を 使って染色をしていたという。職人さんの製作風景を見学することができ、引場と呼ばれる反物に色を挿す作業場では、ぴんと張られてつるされた反物に、この 道45年の職人大野勝さん=写真左=がはけを滑らせていた。工房では体験教室なども実施しているほか、若手育成にも力を入れている。モダンなカフェと ショップ、ギャラリーも併設され、粋な江戸染色の世界を満喫できる。




“宝物”つまった住宅街

 妙正寺川から神田川方面へ向かい、落合水再生センター内のせせらぎの里へ。緑の多いゆったりした公園で、子どもたちが元気に水遊びしていた。

カフェ杏奴=電話03(5982)4370=は広い窓から日の光が差し込む居心地のよい空間=写真 右。チャイと手作りの焼き菓子をいただきほっと一息。ロフトや半地下にも客席があり、ギャラリーコーナーも楽しい。店を出て、住宅街の曲がりくねった細い 道を歩いて佐伯公園へ。森の中の小さな一軒家のようなたたずまいは画家佐伯祐三の旧居跡。佐伯祐三の死後、妻が暮らしていたが、妻の死後新宿区が買い取り、アトリエを保存整備して公園にした。佐伯祐三は下落合の風景を多数描いている。





写真02

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 中井駅に戻り、カフェひよこの巣=電話03(3360)5922=へ。小さな店内のあちこちにひよこの飾りが置かれ、女の子らしい隠れ家のようなお店。リゾットのランチセット(1000円、(左))はカボチャがたっぷり入ったやさしい味。季節の果物を使ったデザートも人気が高い。

 次は妙正寺川沿いを西側に歩いて林芙美子記念館=電話03(5996)9207=へ。入り口で蚊よけのうちわを借 り、セミの声を聞きながら庭でのんびりしていると、いつのまにか暑さを忘れてしまう。中井駅に戻り、帰宅を急ぐ人の波をかき分け帰途につく。中井駅周辺は 一見普通の住宅地だが、その奥に宝物がたくさん隠れているような街だった。(池沢なつ)