浜松町駅北口を出るとビルの向こうに東京タワーが見える。それとコントラストを成すのが、徳川家の菩提(ぼだい)寺、増上寺だ。寺から歩いて10分弱の「芝神明栄太楼」は、1885(明治18)年からこの地に店を構える。主人の内田吉彦さんは「以前、この辺りはにぎやかな下町の商店街でした」と振り返る。
「ビル街になり離れていくご近所さんも多く、看板を守るのは大変です。でもここで続けているからこそ、懐かしい顔がひょっこり訪ねてきてくれるんですよね」
もなか「江の嶋」の名付け親である尾崎紅葉は、このかいわいで生まれ、増上寺境内にあった紅葉山(現在は芝公園のもみじ谷)からその号を取った。芝大門2丁目の路地裏に「生誕の地」の小さな案内板が立つ。 (柴崎朋実)
2014年04月12日(土曜日)掲載分
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