大森海岸(おおもりかいがん)
京急大森海岸駅下車
大森海岸 マップ
海苔産地の名残も

 巨大なマンションが立ち並ぶ今では見る影もないが、大森海岸駅界隈(かいわい)は、かつて華やかな花街があった場所だ。
 創業大正13年・お座敷洋食入舟の4代目松尾信彦さんは「料亭に車が横付けできるようにと道路に歩道がなかったんです。柳が植えられて、風流な場所でした」と話す。現在の1階のテーブル席は、かつて運転手の控室だったそうだ。2階には広々とした座敷の部屋が多数あり、使い込まれた床や壁があめ色に磨かれている。「今からこんなぜいたくな作りの店は作れない。この店を守れるのは自分だけと思い、店を継ぎました」。松尾さんは伝統の味を守りながら新しい食材を研究し、時代に合った店づくりを目指している。
 すぐ近くにある布恒更科も、かつての町の様子を伝える数少ない証人の一つ。今の季節は菊の花や紫芋を練り込んだ美しいそばや柿とそば粉を合わせたお菓子などが、目と舌を楽しませる。

 幹線道路や大型スーパーを通りすぎ、住宅地を歩くと度々小さな神社に出くわす。さらに南へ歩けば、かつて東京湾が海苔(のり)の産地だった名残にも出合える。古きが失われたことを嘆くより、残ったものを発見する喜びを楽しもう。そんな声が街から聞こえてくるようだ。(池沢なつ)

(電話)

★お座敷洋食 入舟 03(3761)5891  ★布恒更科(3761)7373  ★かりん糖工房 十五屋 大森(3761)5153  ★海苔の松尾(3762)0656  ★大森海苔のふるさと館(5471)0333

2011年10月8日(土曜日)掲載分

上記は情報が変更されている場合がございます。ご了承ください。