東京ほっとコラム


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恋人

2017/11 人(23区エリア / 荒川区)

 三年間付き合っている恋人が東京に転勤になった。「わ、出世コースじゃんよ!」なんて表面的には表情をほころばせ喜んでは見たけれど、胸内は(嘘、嫌だよ、もう、勝手に決めて)表面とは裏腹な心の闇はかなり深かった。田舎住まいのあたしたち。東京に抱くイメージは綺麗なお姉さんがたくさんいて、可愛い子がたくさんいて。恋人の目移りがなによりも怖かった。転勤先は荒川区の西日暮里だった。「下町っぽくてさ、いいところなんだよ。なんていうのかな。情緒があるというか……」恋人はいつもそういってた。ゆみも来いよ。いいところだから。あたしは週末恋人に会いに行った。「おお、」恋人は駅に迎えに来るや否や、「ゆみにまず連れて行きたいところがある」あたしを抱き寄せいい、駅から近い銭湯に連れていった。「俺、ここの常連」鼻白んでいう恋人はまるで自分の庭のよう銭湯を紹介した。銭湯は安堵を引き寄せた。
「いいところじゃんよ」「うん」

(愛知県 岩田)

あらかわ遊園の小さな観覧車

2017/09 レジャー・観光、名所(23区エリア / 荒川区)

 4月、婚約者と桜並木を見ようと、神田川沿いへ出掛けた。神田川沿いの桜並木は、家族連れや近隣の住民たちで溢れていた。散歩の途中、桜並木の近くを走る都電荒川線の景観を写真で収める人の姿も季節を感じるものであった。
 7月、気になっていた都電荒川線に乗って休日を楽しむことにした。都電荒川線の路線図を眺め、荒川遊園地前という駅周辺のあらかわ遊園に婚約者と出掛けることにした。あらかわ遊園は、昭和の雰囲気を感じる小さなテーマパークで、たくさんの家族連れで溢れていた。1つのアトラクションを利用するためには、1枚100円のチケットが必要で、10枚ほどあればだいたいのアトラクションを楽しむことができる。アトラクションの中でも、のりもの広場にある小さな観覧車はおススメである。
 小さな観覧車からは、荒川区周辺を一望でき、隅田川や荒川、そして東京スカイツリーやサンシャイン60などの景色を楽しむことができる。

(神奈川県 山下 誠矢)

夕焼け下町商店街

2014/05 生活、暮らし、趣味(23区エリア / 荒川区)

午後5時、土曜日。
再放送の番組から目をはなし、夕方の西日で仕上げを終えた一人分の洗濯ものを取り込む。
冷蔵庫を開け、足らないモノをチェック。お財布とお買い物バックをひっさげ、「おぐぎんざ商店街」へと歩き出す。
トラック1台分の幅の路地に、所狭しに立ち並ぶ店。商店街の終わりが見えない。左右に見えるのは、大声を張り上げる魚屋のおじさんに負けない威勢のいいアジ、しわしわの手のひらの上にキチンと座るカッコいいトマト、奥からじゅわっと気持ちいい音が聞こえる唐揚げ屋さん、入口に柴いぬが行儀よく座っている服屋さん。
昔ながらの店が並ぶ「おぐぎんざ商店街」は、少し昭和のにおいのする商店街だ。スーパーとは違い、種々の専門家が待ち構えているので、食材の良さ、調理方法を惜しみなく教えてくれる。おいしいシメジの炊き込みご飯のレシピと共に、ニュースの時間までには帰ろうと思う。

(東京都 松井 菜海)

都電荒川線で感じた優しい時間

2013/07 その他(23区エリア / 荒川区)

上京して6年間、電車通勤が嫌だった。人の話し声が嫌で、常にイヤホンを耳につけていた。だけどそんな私が、都電荒川線に乗り始めて、“電車に乗ることがこんなにも幸せなんだ”ということを知った。その日は雨の平日。ゆっくりと街の中を走っていく小さなチンチン電車に心地よく雨のあたる音が響いている。そんな音が優しくて、私は始発駅から終着駅までの約1時間、イヤホンをはずしたままだった。我先に乗り降りする乗客たちとは違い、高齢者には席を譲り、声を掛け合う。また偶然だったのだろうか、友人と出会い、笑顔で言葉をかける姿…。下町の江戸情緒というのはよくわからないけれども、少し前の時代にタイムスリップしたような気持ちになった。せわしなく過ごしていた東京の時間が、初めて優しく感じられた。まだまだ私は東京について何も知らないのだ、そう改めて感じた。

(千葉県 藤本聡子)

つくだ煮の味

2011/10 味・グルメ(23区エリア / 荒川区)

谷中の「夕焼けだんだん」を上がり、日暮里駅に近くなってきたら醤油のいい香りが漂ってきた。見るとつくだ煮屋「中野屋」と書かれたお店があった。建物はいかにも由緒ありそうである。
子供の頃、つくだ煮が大好きで、いつもご飯をちょっと残し、椎茸と昆布のつくだ煮を載せて、祖父にお茶をかけてもらってお茶漬けにして食べるのが気に入っていた。中学になってもそれは続き、「二色弁当」といえば友人は鶏肉のそぼろ煮だったのに、私はアミのつくだ煮だった。
つくだ煮を食べなくなって久しい。スーパーなどで売っているのは添加物が多く、買う気になれないのだ。
種類が色々あるので感心して眺めていると、お店の方は説明をしてくれ、「3世代にも渡って買いに来るお客様もいる」とにこにこ語った。昔ながらの「つくだ煮屋」を発見し、嬉しくて沢山買い求めてしまった。さて、今日は昔のようにお茶漬けにしてみようか。

(東京都 菊川 真澄)

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