東京ほっとコラム



みそ汁

2018/10 その他(23区エリア / 中央区)

40年前私は営業見習いとして先輩について日本橋界隈を歩いていた。ある時先輩に連れられて「げるぼあ」という喫茶店に入った。その店では、厚切りトースト、たまご、ミニサラダそしてみそ汁までモーニングサービスで付いてきた。コーヒーにみそ汁、なんともミスマッチであるが、温かいみそ汁に上京したての私はほっとした。
先日新聞で名古屋モーニングを紹介していた。そういえばあの店はどうなっただろうか? 急に懐かしさがこみ上げて来た。行ってみよう。確か日本橋高島屋の向かいである。
地下鉄から地上に出てみると、一気に昭和へタイムスリップした。昔と同じたたずまいで「げるぼあ」の文字が読めた。
ウェイトレスさんに親しみをこめてコーヒーのAセットを注文。厚切りトースト、たまご、そして以前のミニサラダは2種類のカットフルーツになっていた。40年前と同じように味噌汁も付いてきた。見知らぬ私を彼女は変に思ったかもしれない。

(神奈川県 関谷卓朗)

日本映画を絶滅危惧種にしてはいけない

2013/03 その他(23区エリア / 中央区)

報道各社が、新歌舞伎座開場のお練りを報じていたが、100メートルも離れていない銀座シネパトスが閉館を迎えた。
30年来通った映画館がまた一つ無くなってしまうことに寂寥感を覚えるのは私だけだろうか。正に私にとってもう一つの学校であったと言っても過言でない。
今回の閉館は東京都による震災以降の耐震性の問題指摘によるとのことだが、それにしても行政、大手映画会社の日本映画への支援の脆弱さは憤りすら感ずる。
小津、黒澤、成瀬と海外で評価されるとチヤホヤするが、その他の日本映画はすべて日の当たらない環境にある。
戦前の作品も殆ど散逸してしまっている中で、日本映画を後世に伝承しなければならない。
銀座には大手配給会社が揃っているのだから、優れた日本映画の常設館を作ってはどうだろう。
デジタル化が進む中、各社のプリントの保存状況も心配だ。
廃棄されかねない。日本映画が絶滅危惧種になってはいけない。

(東京都 堀越 秀樹)

先代歌舞伎座

2013/03 生活、暮らし、趣味(23区エリア / 中央区)

私にとって東京と歌舞伎座はセットになっていて、先代歌舞伎座の建て替えが紙上に発表された夜は声を上げて泣いてしまいました。病に倒れハンディを持つ身となった時、もう一度自分の足で歩いて歌舞伎座に行くというのが生きる支えでした。十代から通いはじめ、数え切れぬほどの思い出があったのです。あの歌舞伎座に会えなくなると思うだけで身を切られるようにつらい気持ちでした。懸命のリハビリの結果、数年前から念願の歌舞伎座に通うことが出来るようになりました。病後初めて観た歌舞伎のなんと新鮮に感じたこと、生涯忘れることのない感激でした。何とか壊される前の先代に何回も会うことが出来たのです。落とし目前の新歌舞伎座に期待して、新しい思い出を今度の歌舞伎座にたくさん作りたいと思います。私をここまで快復させてくれた先代歌舞伎座に感謝しつつ、これからも歌舞伎を観に通い続けます。新歌舞伎座よ、こんにちは。"

(埼玉県 中川郁江)

さりげない魅力

2013/02 レジャー・観光、名所(23区エリア / 中央区)

私は月島が好きだ。始めて降り立った時、新旧ごちゃまぜの風景に思わず笑みがこぼれ、それ以来この街の大ファンなのだ。
月島と言えばもんじゃだけれど、私が好きなのはもんじゃ通りと駅を挟んで反対側の佃1〜3丁目方面。
道に椅子を置き日向ぼっこするお婆ちゃんを通り過ぎた十歩先には高層ビル。幅が1mもない狭い路地に入ると現れる『佃天台地蔵尊』。秘密基地の様なそこを抜けると、絵になる赤い欄干の佃小橋。渡れば住吉神社。色ごとに願いが違う、可愛い『達磨みくじ』はお土産にも喜ばれた。
そして、よく井戸をみかける。この街は井戸が沢山あり、正月には『大切なものだから』と松飾りをかけるそうだ。
参道入口の鳥居を拝むお爺ちゃんの背後に広がる隅田川。その向こうに聳えるビル群も壮観。名物レバーフライは3丁目のひさご家阿部がオススメ。
とまあ、月島は歩くだけで笑みがこぼれる、さりげない魅力満載の街なのである。

(東京都 森ちえ)

三階建てのガラス張り

2012/12 生活、暮らし、趣味(23区エリア / 中央区)

昼休みの時間に外に出かけると妙な人ごみにぶち当たる。押しかけ追っかけ、早い靴音が追い抜かしていく。東京人の足はまことに早い。時間に追われるように、分刻みというよりは秒刻みに足を走らせていく。件のチェーン店、ユニクロ銀座店は平日の昼間だというのに人ごみに溢れていた。実はストッキングが切れてしまったので、貴重な一時間半の昼休みを利用し、この店に走った。事務所に閉じこもりがちな彼女は周囲を知らない。ただ手製のサンドウィッチを作っては黙々と食すだけ。コンビニエンスストアで調達すれば良いものをと思うかもしれないが、この時節に薄い履物は腹に毒、結局物知らずの彼女は知られつくしブランド化したチェーン店のタイツと、ついでにパジャマも買ってしまった。不眠症気味なのだ。荷物が目立たないか、好奇の視線を避け、袋を小脇に抱え、事務所前のベンチで師走の風を見上げ、手製のサンドを食す。X'masも無い息が白い。

(東京都 水川 要)

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