東京ほっとコラム



歩くだけでいい、隅田川。

2017/08 場所、風景(23区エリア / 台東区)

心のざわつきが治まる、下町のパワースポット。
隅田川を眉間に皺を寄せながら歩いていたら、海の匂いがした。日曜日の15時、蔵前の駒形から隅田川沿いを歩く。
人通りは昼間でも少ない。日差しが強いせいかもしれない。ジョギングに勤しむランナーは、私など気にしてはいないだろう。井上陽水の「少年時代」を口ずさむ。眉間に入れていた力は緩やかに抜けていく。
職場と自分の部屋への往復が続いていた。金曜日が終わり土日を迎え、青空を見るとここにきたくなる。
隅田川は、確かに潮の匂いがする。日常に身を置いてるはずなのに、旅に出たような解放感に包まれる。仕事は楽しい。ただ、楽しいだけじゃない。鎧を身につけ、滲む涙をこらえながら弱さを見せぬよう闘う、平日の5日間。
カモメが頭上を飛び回り、港で聴くような鳴き声を響かせる。明日からはもっと上手くいく。上に、上に。今週も、ただ勇気付けられるため、隅田川を行く。

(東京都 今井麻理)


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愛する玉子~オーギョーチィ~

2016/03 味・グルメ(23区エリア / 台東区)

日暮里駅から舎人ライナーを背にして谷中霊園の中を散歩する。道の両サイドから伸びる木々の木漏れ日が風の甘みを誘い出す。日展新会館が見えてくる。思わずギャラリーに入りそうになるが少し歩くと喫茶愛玉子はある。時は春の午後、場所は台東区上野桜木2-11-8。更にまっすぐ進めば東京藝大がある。私は大切な友人や久々に会う人を必ずここへ連れてくる。店構えの不思議さ、台湾スイーツという珍しさだけではない。肩の力をフッと抜くことができる空間だからだ。谷根千界隈は芸術や文化の色も濃いが、そこに古くからあるこの台湾スイーツのお店はこの界隈の顔なのである。友人はオーギョーチィを注文、私はオーギョーチィと氷オーギョーチィの2つを注文、いつもそうだ。オーギョーチィは寒天のようでゼリーのようで何とも不思議な食感であり味付けはレモンシロップ。このほっとする味は感性をゆるゆるにし、友人との会話は弾むのだ。ぜひお試しあれ!

(埼玉県 小西徹郎)


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台東ぶらぶら煮込み七変化

2015/05 味・グルメ(23区エリア / 台東区)

 上野を起点にあてもなく台東界隈をぶらぶらするのが好きだ。アメ横界隈は朝7時台から立ち飲み屋が営業中。朝から親父たちのメッカだ。彼らの定番は煮込み。入る店によってこってりからあっさりまで。豚モツもあれば馬肉を入れたものもあって煮込みだけのはしごも愉しい。酔い覚ましに区役所を越して歩いていけば浅草が見えてくる。ここまで来ればホッピー通りを素通りできない。そしてまたここでも煮込み一丁。同じ煮込みでも浅草は上野よりも牛の店が多い。これはこれでまた佳し。自然とホッピーのテンポも上る。
 こうなると騎虎の勢い、飲兵衛の意地汚さが顔を出し、再び酔い心地のまま未知なる煮込みを求めて元浅草、末広町、下谷辺りを迷い歩く。本日のトリとなったのは岩倉高校近くの韓国酒場。出てきた煮込みは本場の唐辛子でオレンジ。その中で牛スジと白い豆腐が仲良く混浴。辛さで一日の酔いが醒めた。本日、打ち止め。

(群馬県 頼富雅博)


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裏上野

2015/01 場所、風景(23区エリア / 台東区)

 裏上野は私が勝手につけた呼び名。上野駅から賑やかなアメ横、御徒町を抜けた一帯を何時の頃からかそう呼んでいる。この辺りは
凡そ上野の持つゴムまりのような躍動は鳴りをひそめ、呼び込みの声もあまりない。そのおかげで駅前を歩いている時の高揚感をゆっくりと醒ましてくれる。高架沿いに並ぶ店もどことなくのんびりしていて大人しい。隣客に気遣いをする必要もなく、忘我の境に入ってゆっくりとホッピーを楽しめる。名店を気取る店もない代わりに敷居も低い。上野一帯では珍しいエリアだとしみじみ思う。
 この裏上野に遊ぶ時はその後も忘我の余韻を楽しむために駅方向へは戻らず、左方向に抜け、三組坂に向けた裏道をのんびり散策するのが定番だ。喧騒とは無縁の道をのんびり歩き、湯島天神で一息つく。若い頃はアメ横で仲間と騒ぎ、余勢を駆って浅草までという無茶もやったが、五十を迎えた今は専らこの裏上野をゆっくりと楽しんでいる。

(群馬県 頼富雅博)


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上野

2013/06 場所、風景(23区エリア / 台東区)

勤務先が上野にあり、昼休みに上野公園をよく散歩する。
この公園は動物園あり博物館ありで、全国から修学旅行や社会見学の子供たちが集まってくる。
制服に真っ白な新しいシューズの男の子たちのグループや、リュックにキャラクターの人形をぶら下げた女の子たちのグループなどをよく見かける。公園の入り口で、さあこれからどこへ行こうか、何を見ようかと、ニコニコして歩いている。
「みんな気をつけてね」と通りすがりのおじさんである私は心の中で呟く。
「親御さんはご心配でしょう、だからみんな無事に楽しんできてください、どうか上野を、そして東京を楽しんでいってください」、おじさんの呟きはいつも同じである。
公園を歩く彼らの顔は、楽しさと嬉しさでいっぱいだ。上野はこんな笑顔が一年中見られる街である。

(東京都 角田 裕司)


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