vol.19
親しまれ、歴史刻む 百貨店の包装紙


 今年もそろそろ、お歳暮やクリスマスなど、贈り物の多い時季がやってくる。百貨店の顔でありブランドでもある、持ち歩けば、広告としても活躍する包装紙。長い間、親しまれるデザインで、百貨店の歴史とともに歩む、包み紙を紹介しよう。

バラの花 4代目


■高島屋

 創業180年以上の老舗百貨店で包装紙が登場したのは昭和27年。シンボルでもあるバラは、最初1本だった=写真(右)。昭和55年の創業150年記念に、洋画家・高岡徳太郎氏による、モダンローズという品種をモチーフにした輪バラとなり、平成19年には、新宿店改装記念のタイミングでイングリッシュローズを原画として刷新。姿を変えながら、4代目となる現在のデザイン=同(左)=に至る。「'変わらない'のに、あたらしい。」という企業メッセージを包む紙だ。
 日本橋高島屋の建物をイラストで描いた紙袋と、手提げ袋「日本橋高島屋オリジナル 重要文化財指定記念メゾントート」(1296円)もある。

日本橋高島屋(電)03・3211・4111

 

 

 

幸せを運ぶハト


■京王百貨店


 戦後、日本の最大イベント、東京オリンピックと同じ昭和39年の秋に創業した同店。平和の象徴ともいえるハトをモチーフに、当時の担当者がデザインを依頼したのは、映画のタイトルバックや、日米の企業ロゴなどを数多く手掛けた、米国人の世界的デザイナー、ソール・バス氏。
 ハトを平和の象徴として世界中に知らしめた、パブロ・ピカソに依頼することも検討されたが、スケジュールの都合で断念したという逸話もある。創業以来変わらぬデザインのハトは、"幸せを運ぶ使者"としてさまざまな商品を包んでいる。
 ハトが描かれた「京王オリジナルマイバッグ」3色、各500円も。

京王百貨店 新宿店(電)03・3342・2111

 



強く、美しく願い


■三越

 昭和25年、日本の百貨店で初めてのオリジナル包装紙として誕生。半世紀以上もの間、三越のシンボルとして愛用される。作者は、昭和期の洋画家・猪熊弦一郎氏。模様は「華ひらく」と名づけられ、猪熊氏が千葉の犬吠埼で集めた石がモチーフ。戦後間もない時代に"波にも負けず、強く美しく"といった意味が込められたという。当時、三越の社員だった漫画家・やなせたかしさんが「mitsukoshi」のロゴを書き入れ完成した。写真(右)は原画。
 一方、紙袋は一昨年、57年ぶりに変更した。友禅作家で人間国宝の森口●彦氏の「白地位相割付文(しらじいそうわりつけもん) 実り」と題された着物のデザイン。

日本橋三越本店(電)03・3241・3311