今月の街先案内人

今回のゲストは作曲家でピアニストの新垣隆さん。
あの事件で話題になるまで、長年生活してきた街である代田橋の魅力を紹介していただきました。

長年お世話になった街に、不義理を働いたような気でいました。

 “ゴーストライター騒動”で一躍、時の人となった新垣隆さん。あの騒動が起きる前まで長年住まれていたという代田橋に久しぶりに訪れてみました。
 
 この街には、どんな思い入れがあるのでしょう?
「引っ越した後にあの騒動を起こしてしまい、顔馴染みのお店にも挨拶ができていないままだったので、不義理を働いたような気持ちがありました。だから、今回の撮影は、なるべく皆さんに挨拶して回ったんです(笑)。 当時、近くの商店街が街起こしとして『沖縄タウン』と銘打って活動を始めていたんですけど、僕はその試みが上手くいったのかどうか見届けずに引っ越してしまったので、それが気になっていたということもあります。今回お邪魔してみて、思ったよりも『沖縄』が根付いているようなので安心しました。」

 新垣さんからみて、代田橋の魅力とはどんなところにあるのでしょう?
「“馴染み深い街”というと漠然としていますかね?
限りなく都会でありながらも、幹線道路から1本路を入ってみれば、とっても地域密着な商店街があったりと、人情味に溢れた街なんです。商店街全体で『沖縄タウン』として活動しようとするあたりにも、地元意識が強い現れですよね。
 みんなで街を盛り上げようという気概は、元来消極的な性格の僕にとって、とても刺激を与えてくれる存在でもありました。今になって考えると、自分にはないものを与えてくれるからこそ、居心地がよかったんでしょうね。なんで引っ越ししちゃったのかな?なんて考えてしまいます(笑)。 最近は商店街がテレビで紹介されたこともあって、ちょっとした話題になっているみたいですし、是非みなさんにも訪れていただきたいですね。実際に人と触れてみて、その魅力を感じてもらえたら嬉しいです。」

「沖縄タウン」に訪れた新垣さん。
「沖縄タウン」として街起こしに取り組む商店街に、久しぶりに訪れた新垣さん。
道行く人に声をかけられ、ついつい買い物もしてしまう新垣さん。
道行く人に声をかけられ、ついつい買い物もしてしまう新垣さん。イメージ通り、押しに弱い性格?
三線のレクチャーを受ける新垣さん。
沖縄らしく三線の専門店も。ここではスクールとして三線のレクチャーを受けられます。

音楽は私にとって、息をするのと等しいくらい根付いているものなんです。

 もともと知る人ぞ知る“天才”として現代音楽の世界では名を馳せた存在である新垣さん。
そもそも音楽家になろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
「幼稚園の頃からピアノを習っていて、物心ついたころには音楽にどっぷり浸かっていたという、よくあるパターンです。ただ、僕の場合はずっと音楽が生活の一部として暮らしてきましたから、音大に進学するころには『音楽で生きていこう』というよりも『音楽でしか生きていけない』という状況になっていました(笑)。」
 
 新垣さんは音楽家であるとともに、いわゆる音楽オタクで昭和のアイドルソングにも詳しいとお聞きしました。今の若者に聴いてもらいたい曲はありますか?
「80年代はいわゆるテレビっ子だったので、当時の事は鮮明に覚えているんですけど、それ以降はあまりテレビを見なくなってしまったので、実はそれほど詳しいわけではないんです。でも、今聴き直してみると、当時の楽曲ってよくできているなぁと感心させられることは多いですね。特にY.M.O.さんの楽曲のクオリティの高さには目を見張るものがあります。アイドルではないですけど、これは聴いておいて損はないので、是非。ちなみに、今の音楽でいえば、坂本冬美さんと青山☆聖ハチャメチャハイスクールさんが一押しですね!」
 それって、半分宣伝ですよね(笑)。
「バレましたか、その通りです(笑)。」

今後の展望があれば教えてください。
「今後は俳優をしてみようかな、なんて考えています……。なんて冗談もいえるようになりました。こういった状況にまで戻れたことが、とてもありがたいですね。あの騒動で、自分の未来が見えなくなっていましたから。
 いまの環境になるまで、いろんな方とご縁があり、いろんなところで支えていただけたからこそ、本業である現代音楽の活動もできるようになりました。

インタビューに緊張気味の新垣さん。
インタビューに緊張気味だった新垣さんも、音楽について語るときは、表情が柔らかくなります。
真面目に回答を考えながらも、ときおり冗談を交えて語る新垣さん。
真面目に回答を考えながらも、ときおり冗談を交えて語る新垣さん。常に聞き手への配慮を忘れません。


ですので、まずは支えてくれたみなさんに感謝の気持ちを込めて、自分ができることを続けていきたいと思います。
 もちろん、新しい出会いのなかで、新しい挑戦をすることもあるかもしれません。そのときは、また新垣が何かやっているぞ。と温かい目で見守っていただけると嬉しいです。
 それと、実は新しいアルバムを作りました。
これは、僕の本業ともいうべきピアノ協奏曲を収めたものなので、ジャンルとしてはクラシックになります。これまでとは違った雰囲気や、アコースティックならではの臨場感を詰め込めたと思いますので、よろしかったら是非聴いてみてください。」

写真:ボクダ茂

 
新垣 隆
Myprofile
新垣 隆(にいがき たかし)

1970年、東京生まれ。4歳よりピアノを始め、1989年桐朋学園大学音楽学部作曲科に入学。同学科を卒業後、作曲家ピアニストとして多岐にわたり精力的に活動し、2013年度まで母校の非常勤講師を約20年にわたり務める。 2014年2月、佐村河内守のゴーストライターを18年間務めていた事を懺悔告白。「交響曲第一番HIROSHIMA」「ヴァイオリンのためのソナチネ嬰ハ短調」等の作曲家として、俄かに脚光を浴び、近年はテレビ・ラジオ番組出演など活動の幅を広げている。
Information
■新垣隆 初のソロ・アルバム「新生」



新垣隆 初のソロ・アルバムとなる「新生」がリリース中。
2015年10月に作曲し、紀尾井ホールにて初演されたピアノ協奏曲「新生」の他、 ヴォーナス・トラックとして新垣隆が中学生の時の作品「ピアノソナタ1985」を収録。

※山野楽器限定販売の予定です。
http://www.yamano-music.co.jp/docs/soft/classic/classic01.jsp



曲目(Time)
ピアノ協奏曲「新生」第1楽章  (8:48)
ピアノ協奏曲「新生」第2楽章  (6:14)
ピアノ協奏曲「新生」第3楽章  (4:25)
ピアノソナタ1985   (10:24)    ピアノ:新垣 隆
定価:¥2,315(本体価格)+税
白鳥麗子でございます!