マイホームタウン インタビュー 遠藤憲一 東京新聞 ほっとweb
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今月の水先案内人 今回のゲストは俳優の遠藤憲一さん。遠藤さんが、若かりし下積み時代から現在まで住み続ける新宿の街について、その魅力を語っていただきました!

「芝居が好き」だと気づいたときから、「役者として生きていく」と決めていた。

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 強面を生かした悪役から、気の弱いおじさん役やコミカルな役までこなす高い演技力で、いまや飛ぶ鳥を落とす勢いの名バイプレイヤー、遠藤憲一さん。その活躍は役者のみならず、ナレーションや脚本を書いたりと多岐に渡りますが、役者になろうと思ったきっかけは何だったのでしょう?

「役者を目指したわけではなく、学校をやめてアルバイトを転々としていたとき、あるタレント養成所が劇団員を募集していたのを見つけて、なんとなく『面白そう』と軽い気持ちで始めたのが最初かな。その劇団で舞台に上がってから、芝居に対して本気で興味を持ち始めたんだよね。
 芝居を『好き』だと自覚したのは、それまで嫌いだった勉強が苦にならなくなったことに気づいたから。演じるにあたって、いろいろと調べたり学ばないといけないことって少なくないでしょ? 読書をするようになったのも、音楽を聴くようになったのも、絵画にふれるようになったのも、芝居を始めてから。だから自然と芝居の世界で生きていくつもりになっていて、根拠もなく『なんとかなる』って思ってたんだよね。」

 これまでのなかでターニングポイントとなったものはありますか?
「細かいくはいろいろあるけど、大きいものは3つ。はじめの養成所を辞めて、無名塾も辞めた後に自主公演をやったとき。これは「動物園物語」という二人芝居だったんだけど、当時同じ公演名が雑誌「ぴあ」に掲載されていたので、その劇場でチラシを配布したんだ。同じ公演名だから、その劇を観た人なら興味をもってもらえるかな?ってことで。その時、実際に観に来てくれた人が、後の最初のマネージャー。これで本格的に役者として活動することになったからね。
 次は三池崇史監督との出会いかな。最初は映画「天国から来た男たち」で、その後もたくさんご一緒させていただいたけど、彼との会話のなかから『芝居って自由でいいんだ!』という気づきがあって、それから自分が思うことをいろいろと試すようになった。
 最後はやっぱり、奥さんがマネージャーになったこと。彼女のおかげでテレビ方面へも道ができたからね。すごく感謝しているよ。」
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    ターニングポイントとして「奥さんとの出会い」をあげたとき、強面だった遠藤さんの表情が優し気に変化。カメラマンは見逃しませんでした(笑)。

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    芝居をするにあたって、面倒であっても台本を読み込んで、考え抜くことを第一と考えている遠藤さん。その積み重ねがあってこその今。

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    芝居をするようになって、嫌いだった勉強というものが苦にならなくなったのだとか。膨大な知識に裏付けされた演技力という訳です。

役とは "出会い" だと思うから、やってみたい役柄というのは意識したことがない。

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現在は多忙過ぎて、なかなか新宿で遊ぶことができないそう。「ウォーキングだと素通りしちゃうから(笑)。でもあの店、ちょっと気になるな」

 前述のとおり、非常に幅広く演じられていますけど、どういったときが一番演じやすいのでしょうか?
「自分は強面だけど、内面は臆病といっていいほど大人しいのよ。ただの気の弱いおじさん(笑)。だから、最近の役でいえばドラマ「民王」で少年になってしまったときが、自分の素に近いキャラクターだね。演じるのが楽ということはないんだけど、自分に近いのは間違いないと思うよ。」

 今後の展望というか、こういう役をやってみたいというものはありますか。
「役っていうのは "出会い" だと思っているので、自分からやりたいと意識するものはないかな。
 いろいろな役を演じてきたけど、今でも毎回試行錯誤の連続なんだ。だから満足できた役って、ほとんどないの。
 自分は台本を覚えるのに時間がかかるから、なるべく早くから台本を読み込みはじめる。ある程度読み込んでくると、いろいろと気づくことや思うことが出てくるから、それについてもいろいろ考える。
 正直にいえばとてつもなく面倒臭い作業なの。でもそれをしないと、ただ覚えたセリフを発音しているだけになってしまうと思うから、ちゃんとやる。要は手を抜かないってことなんだけど、「こんなもんかな?」って気持ちは持たないように意識しているね。
 さっきも話したとおり、自分が思ったことは何でもやってみるようにしているんだ。たとえそれが監督に却下されたとしても、やらないよりやった方がいいと思っているの。そういうことを続けていると、今ある役柄に集中しているから、先にやりたいことを考えている暇もないしね。
 ただ、そうやって考えてきたことは次に出会った役柄でも無駄にはならないと思っているから。」

 役作りをしっかりするということでしょうか?
「う~ん。微妙なところだね。いろいろと考えてから現場へ向かうけど、俺の場合は実際にどうやって演じるかが決まるのは、本番の直前。そこで初めて役が完成するんだよね。ギリギリまで考えているのは、もはや性格だから変えられない部分かもしれないな。」
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    5丁目界隈は街並みが変化する分岐点。四谷の雰囲気が混じりだして、落ち着いた感じに。

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    1本裏通りに入ると飲食店が並ぶ乱雑した雰囲気に。末広亭はお気に入りのスポットのひとつ。

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    「普段歩いていないエリアもあるから、改めてみると思ったよりも新鮮な感じがするね。」

写真:押木良輔

PROFILE

マイホームタウン インタビュー 遠藤憲一 プロフィール 遠藤憲一 ( えんどうけんいち)
1961年6月28日生まれ。東京都出身。
1983年にNHK『壬生の恋歌』でドラマデビューを果たし、時代劇や刑事ドラマ、サスペンスなど幅広く活躍し、強面を活かした役柄でキャリアを重ねる。現在はコミカルな役柄や、気の弱い役柄などギャップを活かした演技にも定評があり、ナレーションでの活動など、更に活躍の場を広げている。10月には、連続テレビ小説『わろてんか』、『ドクターX~外科医・大門未知子~』、ドラマスペシャル『BORDER贖罪』が放送される。