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  • 木の実ナナ × 池ノ上

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池ノ上が私のホームタウン
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今月の水先案内人木の実ナナ
今月の街先案内人
今回のゲストは女優の木の実ナナさん。40年もの間お住まいという、文字通りのマイホームタウン“池ノ上”で、思い出とともに今後の展望などを伺いました!
付き添いのはずがオーディションに
合格してしまい、友人と大喧嘩。
 抜群のスタイルと歌唱力を武器に、長く日本のミュージカルシーンを牽引してきた女優の木の実ナナさん。還暦を過ぎてもパワフルなステージをこなし、今なお第一線で活躍するナナさんの魅力に迫ります。

そもそも、この業界を目指したきっかけは何だったのでしょうか?

 「私が幼い頃ってテレビよりもラジオが主流だったし、お祭りのときに『のど自慢』が開催されたりと、今よりも歌がずいぶん身近だったの。それで中学生のときに、歌手志望の友人が渡辺プロダクションの新人発掘オーディションを受けるっていうんで、その付き添いで新宿の『ACB HALL』に同行したのよね。そうしたら『一緒にきた子は歌わないのか?』なんて聞かれてね。それでコニー・フランシスの『カラーに口紅』って曲を歌ったのよ。私はもともと付き添いできただけだから、気楽に歌えるでしょ? 友人は真剣じゃないですか?緊張しちゃっててね。結果、私が合格しちゃったのよ。もう、帰り道では当然だけど大喧嘩(笑)。後日、事務所から両親に会いたいと連絡が来てね。私は歌手になりたいって思ってたんだけど、両親に大反対されて、最後に味方してくれたのがおばあちゃん。私の父も親の反対を振り切ってトランペッターになったので、その過去に触れながら説得してくれたんです。 これが私が芸能界に入ったきっかけかな。」

 長く業界で活躍されてきたなかで、何かターニングポイントとなることはありましたか?

 「たくさんあるけど、やっぱり細川俊之さんとご一緒したミュージカル『ショーガール』ですね。日本で初めて、日本人が手がけたミュージカルのヒット作。16年間に渡って上演していましたから、お子様からおばあ様まで広い世代に支持していただいて、まさに木の実ナナの代名詞とも呼ぶべき作品です。未だに年配の方から『この間観ました!』みたいなこと言われるんですけど、もうやってませんから(笑)。でもそれだけ、みなさんの印象に残っているということですから嬉しいですよね。
 毎年いらしていただいたお客様はもちろん、素晴らしいスタッフ、共演者、バンドのみなさんの愛情に育まれて、今の私がいる。そう思える作品なんです。」

終始笑いの絶えないインタビュー現場。スタッフへの気遣いで、現場の雰囲気を盛り上げる木の実ナナさんは流石の一言。



私を観に来てくれる“ステージ”に立ち続けたい。何よりも幸せな瞬間だから。

撮影当日は定休日のお店が多く、ナナさんがお気に入りのお店で開いていそうなところを思案中。

普段お仕事をされるなかで、心がけていることなどはありますか?

 「昔から、新しい仕事をするときにはスタッフの名前をメモしていましたね。台本にちょこちょこと書き込んだりして、誰がどういう人なのかを把握しておくの。
 当時はスマホとかないでしょ?その場で調べるなんてできないから、わからないことが出てきた時、その問題は誰に聞けば教えてもらえるのか?ということ知るためにも便利なのよ。だから、スタッフの顔と名前は必ず最初に覚える必須要項。何よりも、コミュニケーションが円滑に図れれば、現場がとてもスムーズに進行できるでしょ?

 この業界って、普段の生活や社会では教えてくれないようなことがたくさんあってね。そういうときにも、メモを取るという習慣は役立ってたと思うわ。
 覚えなきゃいけないことは膨大にあるし、客観的にみればかなりキツイ環境のはずなんだけど、不思議としんどいと思ったことはないわね。むしろ、ソレが楽しいとさえ思えていたもの。
 特に若い頃は『学校なんていきたくねー』って思ってたけど、仕事のなかで学ぶことはとっても楽しかったから『あれ?こっちはいけるな』なんて考えてましたから(笑)。
 そうやっていろんな方から教わったり、支えてもらったからこそ、今も歩んでいけてるんだと思います。ってコレさっきも言ったわね(笑)。」

今後の展望や目標のようなものがあったら、教えていただけますか?

 「今は新しいことにチャレンジするというよりも、どれだけ長く続けられるのか?という方を意識しているかしら。
 来年の1月に下北沢の本多劇場でコンサートをやりますけど、私は大きなホールで歌うよりも、観客との触れ合いを 感じられる規模の小さめのステージの方が好きなの。規模に関係なく、歌い続けることが目標。
 とはいえ、コンサートでなく舞台に立つことも大好き。コンサートは私個人から湧き出る表現だけど、舞台での役を演じているからこそできる表現というものもあります。普段と違う自分になれるという楽しさもあるから。何にせよ、『私を観に来てくれている』という気持ちになれるステージには、格別の面白さがあるわね。」

小じんまりとした商店街ながら、お店の種類は豊富な池ノ上。「この下町のような雰囲気がいいのよ。」

写真:押木良輔
PROFILE
  • 木の実ナナプロフィール
  • 木の実ナナ

    1946年7月11日生まれ。東京都出身。
    トランペッターの父とショーダンサーの母との間に長女として生れ、芸能一家の環境と向島という土地柄の下町気質が現在の木の実ナナを形成することとなる。1974年からのミュージカル『ショーガール』は通算547回公演、60万人を越す観客を動員し、ゴールデンアロー賞大賞を受賞。
    1990年にはオリジナルミュージカル「阿 OKUNI 国」が絶賛を浴び、自著の「下町のショーガール」は舞台化及びNHKにてドラマ化される。
    2001年、フラメンコ・ミュージカル「ロス・タラントス」で、読売演劇大賞選考委員特別賞を受賞。舞台のほかに、映画・テレビと幅広く活躍し、主なテレビ作品に「オレゴンから愛」、「たけしくん、ハイ」、「あぶない刑事シリーズ」「万引きGメン・二階堂雪シリーズ」など多数。