日本には、経済的に苦しむ多くの子どもたちがいる。厚生労働省によると、十七歳以下の相対的貧困率は約16%。六~七人に一人の割合で、増加傾向が続いている。貧困は子どもたちの健全な成長を阻み、社会にとって損失も大きい。

 公的な支援としては、ひとり親などにお金を支給する児童扶養手当や、憲法が掲げる「健康で文化的な最低限度の生活」を担保する生活保護などがある。しかし、現状では必要な人に必要な支えが十分届いているとは言い難い。取材した事例を二つ紹介したい。

 東京都国立市のシェアハウスに長女と住むシングルマザーは、同じ建物に入る男性と事実婚の関係にあるとみなされ、児童扶養手当の支給を止められた。男性と交際経験はなかったが、市は生活実態を十分に確かめぬまま、一つ屋根の下で暮らす点を問題視した。

 福島市に住む生活保護世帯の高校生は頑張って奨学金を得た結果、保護費を削られた。外部からの「収入」は、生活費に充てるように求められたからだ。本紙の報道もあり、いずれも是正されたが、行政の硬直的な対応はまだ残っている。粘り強く報道していきたい。
 新国立競技場の旧計画について、国の検証報告書は、「すべての重要な決定は(中略)『やむをえない』という『空気』を醸成することで行われていた」と、責任者不在のまま、なれ合いで進んだ組織体制の問題を断じた。

 かつて、舛添要一都知事が「大日本帝国陸軍をほうふつとさせる」と批判したが、全く同感だ。建築家の槇文彦さんらは早い段階から問題提起したが、国側は「いまさら変更できない」と顧みなかった。責任も権限も誰にあるのかよく分からないまま突っ走り、しかも途中でやめられない。だから「大日本帝国陸軍」なのだ。

 計画は仕切り直されたが、今も国は難しいかじ取りを続けている。五輪まで残された時間が少なく、十分な工期が確保できないからだ。だが、工期短縮について政府側に妙案があるわけではなく、公募に参加する建築家やゼネコンに委ねられているのが実態だ。

 建築物価の高騰や消費税増税などコスト増の要因も追い打ちをかけ、千五百五十億円の建設費がさらに膨らむ懸念もある。今後も目が離せない。「なにか変」という感覚を大切に取材を続けたい。

この記事は、2015年12月2日 東京新聞に掲載されたものです。

チョウカンヌ

「チョウカンヌ」プロフィール

東京新聞の次世代研究所で生まれたキャラクター。身も心も新聞でできていて、いろんなことに興味津々。よく「顔が広いですね(面積的に)」と言われ、自分でもそこは気に入っている。夢は東京新聞の公式キャラクター。「ユウカンヌ」という名前の妹がいる。

次回は

「チョウカンヌの災害時新聞紙活用法」を
ご紹介するわ。