新聞週間(15~21日)× 東京新聞次世代研究所

新聞は読むもの。そんな常識を新聞週間(15~21日)だからこそ翻してみたい。美術作家の西沢みゆきさん(48)=大阪市=は、新聞紙で作ったドレスを身にまとい、国内外の街を歩く「新聞女」。東京の今を伝える新聞に身を包むと、一体、何が見えるのか。記者(32)も「1日新聞女」になって西沢さんと東京を歩いてみた。

 「軽くて丈夫。でも暑いんです」。 十月上旬、都心で最高気温が三二度と季節外れの暑さとなったこの日。その言葉どおり、ドレスは簡単には破れないが、汗がにじむ。

 全身、ほぼ新聞。これで外に出るのは恥ずかしい。西沢さんはそんな記者の心を見透かし「はい、これ付けて。楽しみましょ!」と記者の肩に新聞紙のテディベアをのせ、外へ。国会議事堂前に立つと、タクシー客が物珍しそうにこちらを指す。冷たい視線に帰りたくなったが、バスの車窓から手を振ってくれた修学旅行生の笑顔に救われた。

国会議事堂前で

 浅草の雷門前ではアジアやヨーロッパ各国から来た観光客に次々と記念撮影を求められ、西沢さんが笑顔で堂々とポーズを決める。

雷門前で

リオ五輪の写真や「感動 東京へ」の見出しが並ぶジャケットの背中を見て、イスラエルから来たデザイナーの女性は「ビューティフル!」と何度も繰り返した。

長野から来た男性は「新聞が芸術になるんだなあ」としみじみ。道行く人と自然と会話が始まり、恥ずかしさが薄らいでゆく。

 西沢さんは十五年前、紙をテーマにした現代美術公募展で、即興で作った新聞紙ドレスで準大賞を受賞。以来、「新聞女」を名乗り、地元の大阪や神戸、フランス、イタリア、中国などで披露してきた。今回、素材に選んだのは前向きな見出しが躍る記事。「新聞自体がコミュニケーションツールになる。つらい事件や事故の記事も多いけど、私はその新聞で世界をハッピーにしたい」

青学生とドレス作り

 若い人に新聞を身近に感じてもらおうと、東京新聞の有志による「次世代研究所」が今月初旬、青山学院大(渋谷区)で開いた「東京新聞カフェ」に西沢みゆきさんがゲスト出演した。新聞紙ドレスのワークショップに約20人の学生が参加、バラのコサージュなどを作って楽しんだ。

 西沢さんが新聞にひだをつけながらモデルの女子学生の腰回りに1枚ずつ手早く貼り、スカートが完成。「とても簡単。失敗を気にしないのがポイントです」使うのは新聞紙とはさみ、透明テープだけ。コサージュや帽子は、子どもでも簡単に作れる。スカートにコサージュを付け、1時間ほどでドレスが完成した。

新聞を内側に6枚、外側に12枚貼り合わせ、スカートを作る

 モデルになった総合文化政策学部2年、海老原遥さん(20)は「最初は恥ずかしかったけど、友達とやれば絶対楽しいと思う」。

法学部4年の片田貴也さん(23)は「クリエーティブな発想に驚いた。こんなふうに物事に対する幅広い見方ができるようになりたい」と話した。

親指を中心に新聞を巻き、最後はテープでとめるとバラのコサージュの完成

文・奥野斐/写真・由木直子/紙面構成・小林麻那

この記事は、2016年10月16日 東京新聞に掲載されたものです。

チョウカンヌ

「チョウカンヌ」プロフィール

東京新聞の次世代研究所で生まれたキャラクター。身も心も新聞でできていて、いろんなことに興味津々。よく「顔が広いですね(面積的に)」と言われ、自分でもそこは気に入っている。夢は東京新聞の公式キャラクター。「ユウカンヌ」という名前の妹がいる。

次回は

「東京新聞カフェ@青学」を
ご紹介するわ。