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東京新聞次世代研究所Web版

ポジ出しで行こう ポジ出しで行こう
おぎうえ・ちき
おぎうえ・ちき

評論家・編集者。専門家の寄稿やインタビューを通し、ニュースを掘り下げるインターネットサイト「シノドス」を運営。1981年生まれ。兵庫県出身。

  • タイトル ウェブ充実させても紙を読む人は読む

    大図解 新聞の強み

    -印象的だった紙面は。

    大谷 「ニュースが分かるAtoZ」。グラフやイラストが多くて分かりやすかった。

    増田 サンデー版大図解。カラーの図鑑を見ているようで楽しく、テーマも幅広い。

    荻上 この大きさが使えるのは新聞の強み。インターネットにそのまま載せたらいいのでは。

    -ネットが充実し過ぎると紙の新聞の部数が減るのでは、と社内で心配する声もある。

    荻上 紙を売りたいのか、記事を売りたいのか、考え直す必要がある。ネットで読まれているのは結局、新聞社の記事。ウェブがなくても紙は減っていたろうし、紙が好きな人はウェブが充実しても紙を読みたい。ネットしか読まない人から見れば、ネット上にない記事は世の中に存在しないのと同じ。ネットで読めるからこそ認知され、信頼されていく面もある。

  • ますだ・みのり
    ますだ・みのり

    シノドスで渉外、編集を担当。大学院でユーゴスラビア紛争に関する報道を研究した。89年生まれ。東京都出身。

  • タイトル 議論できるサロンあったらいいな 全員の画像
  • 「ポジ出し」って?

    欠点を挙げ批判する「ダメ出し」の対義語で、ポジティブ(前向き)な改善策を出し合おうとする思想を意味する荻上チキさんの造語。著書「僕らはいつまで『ダメ出し社会』を続けるのか 絶望から抜け出す『ポジ出し』の思想」(2012年、幻冬舎刊)の中で提唱。

  • タイトル 障害者やLGBT当事者が紙面作り

    -伸ばすべき点は。

    荻上 統計を分析し、視覚的に伝える「データジャーナリズム」に力を入れてほしい。各分野のデータを取り、ニュースの「見える化」を。学識者とメディアがコラボレーションできると思う。

    -東京新聞の強みは。

    増田 物事を斜めから見ているので、多角的な見方のきっかけを与えてくれる。

    荻上 リベラルの立場で、ヘイトスピーチや憲法に対する姿勢が分かりやすい。他の新聞がやらないことに挑戦してほしい。あえて論調の異なる人にもアプローチし、「論壇」をつくってはどうか。ウイングは広げつつ、カラーは鮮明に。これは両立できる。

    -「読者とともに」の姿勢については。

    荻上 私たちシノドスは、読者が求めるものではなく気づかなかった視点を伝えたいので、読者の声はあえて反映しないが、双方向性が必要な新聞は、読者の質問に答えるコーナーは設けて。考えが分かれるテーマは論争の場を。

    過去記事の活用を

    大谷 一つのテーマについて、異なる意見も載っていると親近感が湧く。若い世代は、どちらかに極端に寄った意見だけだと共感しづらい。

    -どんな報道を期待するか。

    荻上 災害報道のように、発生時だけでなく普段から何をすべきかを伝えるような役割を、他分野でも果たして。障害者や性的少数者(LGBT)など、ニュースの当事者も参加して考える紙面づくりをしてはどうか。取材や統計、法案のたたき台づくりも一緒にやり、当事者に寄り添うメディアを目指す。人々が語り合えるサロンやプラットフォームもあればいい。文化面はアニメ、映画、漫画に力を入れてほしい。

    大谷 「この人」欄は高校生の時に進路を考える参考になった。続けて。

    増田 未来の読者も意識したアーカイブ機能の充実を。例えば、戦争や紛争のニュースに接した時、背景や歴史も知りたい。当事者の声など、過去の報道を長期的に調べられる記録資料があれば、研究者は資料として使える。

  • おおたに・かんな
    おおたに・かんな

    シノドスで編集を担当。DV被害者や性産業で働く女性の支援に関心がある。92年生まれ。広島県出身。

    伊藤弘喜
    司会
    伊藤弘喜(経済部)

    もう少し背伸びをすれば、実現できるかも…。ラジオや新聞などマスメディアの実情を知る荻上さんならではの実践的な提案に、勇気をもらいました。

企画・編集▼伊藤弘喜・大野暢子・三輪喜人・神谷円香