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東京新聞次世代研究所Web版

販売店はこんな感じ
  •  10月15日は新聞の業界団体である日本新聞協会が定める「新聞配達の日・新聞少年の日」でもある。雨の日も風の日も、毎朝必ず家庭に届く新聞。いつ、誰が、どんな思いで配っているのか。東京新聞国立専売店の1日を追った。

     国立市の閑静な住宅街。桜並木の街道沿いに国立専売店はある。そば店の店舗をそのまま使った和風の店構え。横浜市と川崎市で13年、住み込みの従業員として経験を積んだ井上五州(ごしゅう)さん(35)が今年7月、独立して店を持った。10人ほどの従業員を雇い、同郷の妻・智穂美さん(32)と2人で店を切り盛りする。

     仕事を求めて22歳で鹿児島の奄美大島から上京。寮が完備された横浜市の東京新聞販売店に入った。「最初は1日に2回起きるのがつらかった」。朝刊のために早起きし、配り終わって仮眠。そして夕刊に合わせて再び起きる生活。集金、営業。体力勝負の仕事は高校時代にレスリング部で鍛えた体で乗り切った。負けん気の強さは新たな読者の獲得を競う営業コンクールに生きた。

     クレームが入ると真っ先に飛んでいき、客の声を聞いた。真摯(しんし)に対応すれば、最後は「言いすぎてごめん。いつもありがとう」と言ってもらえる。「雨にぬれていないか、迷惑をかけていないか。読者訪問は苦情を拾う貴重な機会」と井上さん。「人との出会いがこの仕事のやりがい」と笑顔で言い切る。

     体の芯まで冷える冬の朝、新聞受けに「寒い中いつもありがとう」と手書きの手紙が張ってあった。集金先で「お子さんにどうぞ」とお下がりの子ども服をもらったこともある。相手の目を見て話すのが難しかったアルバイトのスタッフが、配達や集金を通じて地域のお年寄りから「ありがとう」と声を掛けてもらううち、笑顔で会話できるようになっていく姿も見てきた。

     最近うれしかったのは、小学生と保育園児の子どもたちが新聞屋さんごっこをしているのを見た時。「新聞離れが進む中、ああ、背中を見てくれているんだなと。早く地域に溶け込んで、息の長いファンを増やしたい。どうしたらもっと東京新聞を知ってもらい、読んでもらえるか。いつも考えてます」

  • 販売店の日常