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港区 南麻布 (みなとく・みなみあざぶ)
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東京メトロ日比谷線の広尾駅。
同南北線と都営大江戸線の麻布十番駅

イラストマップ: 岸 潤一
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南麻布には十余もの坂があり、坂名の由緒を尋ねて散策するだけでも結構面白い。有栖川宮記念公園そばの南部坂や木下坂、周辺の仙台坂、青木坂などは江戸時代に大名や旗本の屋敷があったことが由来だ。薬園坂は幕府の薬草栽培所があり、奴(やっこ)坂は奴が住んでいたとか谷小坂がなまったとの説も。
南部坂といえば、忠臣蔵で大石内蔵助(くらのすけ)が討ち入り前、亡き主君の浅野内匠頭(たくみのかみ)の奥方を訪ね、決意を隠して別れを告げる「南部坂雪の別れ」で有名だが、実は赤坂にある南部坂が舞台で麻布ではない。ちなみに義士が本懐を遂げた後に一人離脱した寺坂吉右衛門の墓は絶江坂そばの曹渓寺(南麻布二)にあり、今も手厚く祭られている(非公開)。彼はなぜ離脱したのか、事件を伝える密命を帯びていたのか、なぜ罪に問われなかったのか。その八十余年の波乱の生涯は実に興味深い。(哲)
2019年5月11日(土曜日)掲載分
東京新聞紙面での今後の掲載は以下の予定です。
- 竹の塚
- 船堀
- 桜丘町
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