東京新聞ほっとWeb > ドSグルメ > 伊豆大島に代々伝わる青魚の発酵食品

▲ムロアジのくさや(手前)とくさやピザ(奥)をいただく前に、まず香りを確かめる事業局の安達恭子(右)と編集局の池井戸聰(左)

くさい臭い異臭激臭が
歓喜に変わる大人のアジ
何といっても名前が「くさや」。ムロアジやトビウオなど青魚の発酵食品で、独特のにおいが名前の由来。日本を代表するドSグルメに挑戦するため、伊豆大島へ飛んだ。

くさや料理を提供している「寿し光」には、観光客らしき外国人の姿が。「異臭がする」と騒がれたらまずい。急きょ、テラス席へ。
ムロアジを丸ごと一匹干したくさやが登場。物産店などでみる瓶詰とは迫力が違う。くさやは焼くときが一番臭うらしく、室外にもかかわらず独特のにおいが辺りに充満する。
恐る恐るちぎり一口かむとあふれるうまみと……
恐る恐るちぎってみるとジューシーでおいしそうだ。一口かむとあふれるうまみと独特のにおいが同時に口と鼻孔に広がる。この苦悶(くもん)と歓喜こそが大人のたしなみで、やがてヤミツキになるのだろう。
島の人いわく。「においは四、五回食べれば慣れる」そうだ。海を眺めながら島の焼酎と一緒につまむと、気分はすっかり地元民。
「くさやピザ」も頂いた。チーズのにおいとくさやのにおいが合体して、意外とこちらの方がクセが強い。
島の人たちによって何百年も守られてきたくさや。一度食べたら忘れられないドSグルメの王様だった。
(文=安達恭子、写真=戸田泰雅)

▲くさやが特産品の伊豆大島

海鮮茶屋「寿し光」
くさやピザなどを提供する海鮮茶屋「寿し光」。
「寿し光」木村俊輔店長コメント:オリジナルメニューのくさやピザは「大島」と「おいしさ」を追求した結果です!
「くさや試食編」の動画をチェック

節約から生まれた漬け汁
「くさや汁」

江戸時代に上納塩の厳しい取り立てで塩不足だった伊豆七島で、魚の干物を作る際、節約のために同じ塩水を繰り返し使ううち、魚から菌が発生して発酵したものが「くさや汁」だと言い伝えられている。くさやは、代々受け継がれてきた「くさや汁」につけこみ、天日などで乾燥させた干物だ。
くさや汁に漬け込まれるムロアジの開き 取材協力=くさや藤文商店

2019年6月26日(水曜日) 東京新聞夕刊掲載分

※この企画は一度食べたら忘れられない「ドS」な料理を紹介。毎月第二、第四水曜日に東京新聞夕刊で掲載しています。

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