• vol.06
  • 株式会社吉野家

女優・宮﨑香蓮が
東京を拠点とした老舗をご紹介!
女優・宮﨑香蓮が、インタビューから原稿まで全てをこなす大人の社会科見学。東京の老舗を取材し、受け継がれている歴史や今もなお愛され続けている秘訣に迫ります。宮﨑香蓮の新境地を切り開いた人気の連載。
香蓮お姉ちゃん。
香蓮お姉ちゃん 今回は豊洲市場に行ってもらうわよ。
やったー!お寿司屋さんですか?
わたしが好きなネタは......。
うーんお寿司じゃないの。
取材するのは牛丼の吉野家さん。
魚で有名な市場に吉野家さんがあるのって
不思議に思わない?
そうですね、ちょっと不思議。
よーし、ちょっとお話を聞いてみます!
吉野家へHere we go!

日本橋、築地、そして豊洲
吉野家のルーツは市場にあった!

 「うまい、やすい、はやい」でお馴染みの牛丼チェーン、吉野家さん。今年でなんと創業120周年を迎えたそうです。まずは牛丼が生まれたきっかけから、お話を聞きました。
 文明開化が始まった明治時代、ハイカラな食べ物「牛鍋」の残りをご飯にぶっかけて「牛めし」にして食べるのが流行っていました。それを「牛丼」にアレンジしたのが吉野家です。当時、人が集まる場所と言えば市場。東京の生鮮食料品が集まる日本橋の魚市場に、牛丼屋「吉野家」が創業したのは、明治32年(1899年)のことです。
 お客さんの多くは、市場に集う人たち。仲卸業者や食材の販売業者、そして料理人です。時間のない彼らにすぐ提供できるよう、創業者の松田栄吉は、当時はかなりの高級食材だった牛肉をメインに、上質な有田焼の器を使って提供しました。味にうるさい食のプロたちの間でも、お店は大人気になったそうです。
 大正12年(1923年)の関東大震災の後、市場とともに吉野家も日本橋から築地へと移転しますが、昭和20年(1945年)の東京大空襲でお店が焼失してしまいます。築地市場の店舗が再開したのは昭和22年(1947年)でした。
 築地店の店長さんは忙しい市場の人に合わせ、お客さんの顔と好みをおぼえ、つゆやご飯の量を調整して牛丼を提供しました。これが「つゆだく」など吉野家独特のオーダー法のルーツになったとか。店長さんが顔と好みをおぼえていたお客さんの数は、なんと1000人以上!お客さんが席に着く前に、好みに合わせた牛丼を用意し、着席とともに提供する、なんてことも評判になりました。
 当時の牛丼は、うな丼と同じくらいの値段で、高級な食べ物でした。それでも築地の吉野家にはお客さんが絶えなかったそうです。そして15席という小さなお店にも関わらず、年商1億円を達成します。
 昭和43年(1968年)には、東京・新橋に二号店をオープン。店舗を増やすことで企業としての成長を目指し始めました。こうして順調に成長していった吉野家ですが、昭和55年(1980年)に倒産してしまいます。一体何があったのか?は後半に続く!
  • 日本橋の魚市場にあったお店のイメージ図。当時も活気があったんでしょうね。

  • 豊洲に移転する際に頂いたという築地市場店の絵。かなり細かく描かれています。

吉野家のロゴにも秘密が!諸説あるようですが、周りのしめ縄は横綱級の美味しさを目指すこと、真ん中の7個の点は湯気や7つの大陸をイメージしたデザインらしいです。

失敗から気付いた
人の大切さと味へのこだわり

 倒産の直接のきっかけは、必要な牛肉の量が確保できなかったこと、牛丼の値上げによりお客さんが離れてしまったことが挙げられます。また、店舗数を急激に増やした結果、技術的に未熟なスタッフが店長になってしまい、吉野家の味を守れなくなったことも原因だったようです。
 そこで、会社更生法を申請し再建を目指すなかで、店長の育成にも力を入れます。マニュアルを整備し座学を取り入れることで、店長の技術を向上させ、どのお店で食べても美味しい「吉野家の味」を取り戻していきました。
 順調に復活の道を歩んでいた吉野家ですが、平成15年(2003年)にBSE問題により、アメリカ産の牛肉の調達ができなくなります。この危機的状況のなか、牛丼の販売を中止しました。
 これは「あの時、味を変えなければよかった」と後悔しないための、苦渋の決断でした。味を守るために、あえて販売を止めるなんて、すごいこだわりですよね。そして牛肉の輸入が再開した平成18年(2006年)に、吉野家の牛丼も復活を遂げました。
 創業当時から食のプロに鍛えられてきた吉野家の味。その「おいしさ」を追求する姿勢は今でも変わりません。例えば、全国の店長たちが盛り付けの技術やお客さんへの気配りなど、店長としての総合力を競うコンクールも行われています。80以上ある選考項目をくぐり抜け、全国1位になった店長には「グランドチャンピオン」の称号が与えられます。大会が開催される毎年冬ごろには、お店で気合の入った店長の姿が見られるはずです。
 今年で創業120周年の吉野家ですが、より幅広い世代の方にも食べていただけるよう、カフェ風の内装の店舗を作ってみたり、期間限定メニューの開発など新たなチャレンジも続けています。失敗や危機から何度も立ち上がり、次に活かす姿勢。そして変わらない味と有田焼の器。時代は変わっても大切な部分は守り続けられているんだなと、今回お邪魔させていただいた「吉野家 豊洲市場店」で感じることができました!
  • 牛丼のアタマを盛るおたま。ペンを持つのと同じように指ではさんで持つのがコツだとか。

  • おたまの穴は真ん中ほど大きくなっていて、汁がより多くかかるようになっているそうです。

  • 牛丼 並盛(税込み380円)食べちゃいました。店長さんは常連さんの好みのオーダーをおぼえているそうです。

  • みやざき的おすすめは、ねぎ玉子(税込み110円)の追加。ちょっと焼肉のたれのような味になり最高です!

取材後記

取材後記
取材後記
築地から豊洲市場に移転したお店での取材でした。キャッチコピーについても、なぜこの順番なのか気になったので聞いてみました。このコピーができた当時は「はやい、うまい、やすい」だったそうで、これはお店に来たお客さんが感じる順番。「すぐ出てくる、そしてうまい、お会計で安い」を表現したもの。その後「うまい、はやい、やすい」にして、味へのこだわりをアピール。値段を安くしたタイミングで「うまい、やすい、はやい」に変更。そして、今年は120周年特別バージョンで「うまい、やすい、はやい、ずっと」になっているそうです。実はわたしの地元、長崎県の島原には吉野家さんがなくて、初めて食べたのは上京して来てから。だから取材できたのがすごく嬉しかったです。今回、取材にご協力いただいた吉野家広報ご担当の寺澤裕士さん、ありがとうございました!
DATA

株式会社吉野家

日本のファストフードチェーンの先駆けである吉野家。国内では1200軒以上、海外でも900店舗以上と、世界的にも抜群の知名度を誇っている。創業120周年を迎えた今年は「ライザップ牛サラダ」(税込み540円)や「特選すきやき重」(税込み860円)などで話題を呼んでいる。今回、取材したのは、昨年、築地から豊洲に移転した東京都中央卸売市場にある店舗。
吉野家 豊洲市場店
03-6636-0449
月~土 4:30~14:00
東京都江東区豊洲6-5-1 水産仲卸市場棟6街区3階11号

https://yoshinoya.com/
  • 宮﨑香蓮プロフィール
  • 宮﨑香蓮(みやざき かれん)

    1993 年 11 月 20 日生まれ。2006 年「第11回全日本国民的美少女コンテスト」演技部門賞を受賞し、女優として活動中。NHK 大河ドラマ『花燃ゆ』ではヒロインの幼馴染・入江すみ役として出演する など、いま活躍を期待される若手女優の代表格。
■2018年度NHK「おもてなしの基礎英語」ドラマパートレギュラー
■テレビ朝日「遺留捜査」滝沢綾子役レギュラー
■島ぜーんぶ映画祭第11回沖縄国際映画祭
■地域発信型 出品作品「BENTHOS」主演

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