• vol.12
  • ヤマト株式会社

女優・宮﨑香蓮が
老舗の企業をご紹介します!
女優・宮﨑香蓮が、インタビューから原稿の執筆まで全てを手掛ける連載企画「大人の社会科見学」。今回は120年以上の歴史を誇る文具メーカー・ヤマト株式会社にお邪魔しました。誰もが一度は手にしたことのある、あの「糊」の歴史を香蓮ちゃんがお伝えします!
香蓮お姉ちゃん、
今回は「くっつける」のが得意な
老舗企業を取材してきてちょうだい。
くっつけるって
磁石ですか?
それとも付けまつ毛?
うーん文房具で
くっつけるといったら?
分かりましたっ。
ノリノリで行ってきます!
ヤマト株式会社さんへHere we go!

ピンチをチャンスに変えた
ヤマトの革新的な取り組み

 ヤマト株式会社の始まりは明治32年(1899年)。創業者・木内弥吉氏は薪や炭を売る商売を営んでいました。炭の小分け販売に使う紙袋を作るため、でんぷん糊を使っていました。
 しかし当時のでんぷん糊は腐りやすく、長期間の保存ができません。木内氏は長持ちさせたいと考え、防腐剤と、防腐剤の刺激臭を消すため香料を加え糊をつくりました。また糊は量り売りで買うか自分で作る時代でしたが、一定量をビン容器に入れ販売を始めました。これがヤマト糊の原点です。
 従来の糊と比べ価格は高かったそうですが、事務作業が増えていく時代のなか、糊の需要も高まり、ヤマト糊は徐々にその名を広めていきました。
 昭和になり戦争が始まると、でんぷん糊の主原料だった米が配給制となってしまいます。そこで米に代わり、異なる植物の球根から抽出したでんぷんを混合して糊を作ろうとしました。でんぷんに熱を加え作るのですが、その種類により粘りの出る温度が異なるので良い糊が作れませんでした。
 そこで新たに「冷糊法(れいこほう)」という化学的処理で粘りを出す製法を考案。この製法なら、異なる植物のでんぷんを混ぜても、粘りのある糊に仕上がり、品質も飛躍的に伸びたそうです。この「冷糊法」は、現在でもヤマト糊の製造に使われています。
 戦時中のピンチをチャンスに変え成長したヤマト。戦後、チューブ入りの糊の製造を開始。また容器にプラスチックを採用するようになりました。日本では化粧品に先んじて、ヤマト糊でプラスチック製の容器が使われ始めたとか。ガラスの容器に比べ3倍のコストがかかったそうですが、軽く割れにくいうえ輸送費用が安くなるというメリットがありました。
 ところで「ヤマト」という社名は「商売が大当たりしますように」という願いを込めて付けられたもの。「矢(ヤ)が的(マト)に当たる」で「ヤマト」となったそうです。創業した明治時代に、社名にカタカナを使うことはかなり画期的だっだんです!
  • 青いガラス瓶に金色のフタという戦前のデザイン(左)からインスパイアされたヤマト糊ボトル(右)。

  • アラビックヤマト(中・右)のキャップは売り場で目立たせるためにオレンジ色が選ばれた。

誰もが一度は使ったことのある
アラビックヤマトの誕生秘話

 蛍光オレンジ色のキャップに、琥珀色の液体のり「アラビックヤマト」は、昭和50年(1975年)に登場したロングセラー商品です。
 日本でも女性の社会進出が活発になってきた1970年代。事務作業をする女性たちから、糊を使う際に指先を汚したくないという要望が増えてきました。そこで手を汚さず均一に塗ることができる液体のりの開発が、ヤマトの課題になりました。
 「アラビックヤマト」開発のヒントになったのは、戦前に使われていた「アラビアのり」です。「アラビアのり」は、液体のりの容器にガラス瓶を採用し、瓶の口に海綿を付けた製品。糊は塗りやすかったのですが、価格が高く、使っていくうちに海綿に染みた糊が固まってしまうという難点もありました。
 この「アラビアのり」を参考に「アラビックヤマト」の開発が始まりました。塗り口が固まらず使用時にはすぐ使え、滑らかに均一に塗ることができる「特殊スポンジキャップ」は、3年がかりで開発されたそうです。このキャップのヒントになったのは、台所で使うプラスチック製のザル。スポンジの下にザル状のプラスチックを組み合わせることで、ほどよいクッション性をもたせ、様々な持ち方をしても均一に塗りやすいカーブ状のキャップが完成しました。
 接着力の強かった「アラビアのり」のイメージを踏襲し、「アラビックヤマト」の糊も琥珀色にしました。こうして誕生した「アラビックヤマト」でしたが、当時の一般的なのりの価格に比べ価格が高く、発売当初は苦戦したそうです。そこでミニサイズのサンプルを作り、配りました。このサンプルを使用したユーザーから、使い勝手の良さに反響をいただき、爆発的に売れるようになったとか。
 でんぷん糊の「ヤマト糊」と液体のりの「アラビックヤマト」をロングセラー商品として持つヤマト株式会社。「ひとつの物を他の物とくっつける」ことをコアバリューに、テープやフセンなど様々な商品を展開しています。これからも文房具に限らず、色々な分野で色々なものをくっつけてくれるはずです!
  • ヤマト糊の主成分はでんぷん。1980年代前半から、タピオカでんぷんを使用して製造しているそうです。

  • 5mm方眼にミシン目の入ったフィルムフセンChigiru暗記用。教材をきれいに使いたい人に最適です。

取材後記

取材後記
取材後記
子どものころ、机の端っこにアラビックヤマトをたらして固めて、はがして遊んでいたのを思い出しました(笑)。文房具としても、授業中のささやかな暇つぶしの相棒としても色々な思い出があります。そんな大人のノスタルジックな想いに応えるべく、クリエイターとコラボして「のりの気泡を割る」専用のアラビックヤマトも開発したこともあるそうです。遊び心ありすぎで最高です!こういった外部からの声にも柔軟に対応している姿勢が素敵だなと思うと同時に、120年以上続く老舗の余裕も感じました。ヤマト株式会社・業務企画部の宿谷尚代さん、お忙しい中ありがとうございました!
DATA

ヤマト株式会社

糊を始めとする文房具だけでなく、ホビー・クラフトに使う様々な素材、そして自動車用を中心とした工業用の接着用品など、多岐に渡る製品を製造している。販促グッズや記念品としてオリジナルのプリントを入れたノベルティ用文房具の対応もしている。

なお、ヤマト株式会社創業120周年企画として、人気アートユニット tupera tupera がデザインを手がけたスティックのり「アラビック のりノリおんがくたい」(5本セット715円)が発売。

ヤマト株式会社ホームページ

https://www.yamato.co.jp/

  • 宮﨑香蓮プロフィール
  • 宮﨑香蓮(みやざき かれん)

    1993年11月20日生まれ。2006年「第11回全日本国民的美少女コンテスト」演技部門賞を受賞し、女優として活動中。NHK 大河ドラマ『花燃ゆ』ではヒロインの幼馴染・入江すみ役として出演する など、いま活躍を期待される若手女優の代表格。
■NHK Eテレ「おもてなしの即レス英会話」ドラマパートレギュラー(早苗役)
■テレビ朝日「遺留捜査」滝沢綾子役レギュラー
■島ぜーんぶ映画祭第11回沖縄国際映画祭
地域発信型 出品作品「BENTHOS」主演
■舞台「里見八犬伝」出演(浜路役)
■東京2020オリンピック聖火リレー長崎県内走行聖火ランナーに決定!

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