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    「カワイイ」と報道

    編集局社会部デスク 平岩勇司

記者のつぶやき
石原真樹

「カワイイ」と報道

編集局社会部デスク 平岩勇司

一生分の「カワイイ」を聞いただろうか。
10代の若者らに人気のモデル「しばさき」こと柴田紗希さん(26)に同行した東南アジア・ラオスでの取材。伝統の織物や草木染をつくる工房を訪れた柴田さんは見るものすべてに「か~わ~いい~」「ナハ!(ラオ語でカワイイ)」を連発した。
その記事は11月17日夕刊「カワイイ!で知る世界」で紹介した。のんきな旅のようで、目的はある。
工房は、農村の女性らが自立するため、日本の国際協力機構(JICA)が設立を支援したもの。伝統の織物に新しいデザインを取り入れ、外国人も好むストールやバッグをつくっている。
柴田さんは機織りで作業する女性たちと触れ合い30万人のフォロワーを持つインスタグラムでリポートしている。
「自分が身に着けるものをつくっている場所を実際に見ると、もっと大切にしたいと思うよね」
以前にもスリランカでジュエリー工房を訪れている柴田さんだが、「国際理解」といった言葉は使わない。平明な言葉で、遠い異国の生産者と日本の消費者の距離を縮めている。柴田さんをラオスに招いたJICAも、「しばさき」の自然な発信力に期待したからだ。
彼女を見て、こちらの身の振りを考えた。インターネット全盛の時代、「新聞離れ」が進んでいるが新聞記事に「お堅い説教」というイメージがあるのも一因だろう。
専門的な言葉を並べても、読者のハートに届かなければ意味がない。百の言葉が「カワイイ」の一言に及ばないのでは情けない。娘ほど年の離れた柴田さんに、人にメッセージを伝える「原点」を教わった思いだ。
※執筆記者の所属は2018年11月28日時点のものです。
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